
こんにちは。
毛利まさるです。
「すごく良い提案ですね。でも、いま急ぎじゃないので、また検討します」
こんなふうにやんわり断られた経験はありませんか?
これは営業トークでよくあるシーンです。
商品もサービスもきちんと説明した。相手も納得してくれた。
なのに、最後に「今じゃなくていい」と言われてしまう。
ここで多くの営業パーソンが感じるのは、“何が足りなかったんだろう?”というモヤモヤ。
答えはシンプルです。「なぜ今なのか?」という緊急性の一言が抜けていたのです。
セールストークの基本「5W1H」の“W”が抜け落ちていないか?
セールストークの基本は「誰に(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」、
そして「どのように(How)」です。ここまでは多くの人が自然と組み込んでいます。
であるものの、実は忘れられがちなのが、「なぜ今(Why now)」という要素。
この「Why now」が抜け落ちていると、たとえどれだけ魅力的な商品でも、
相手は“後でいいや”という選択を無意識にしてしまいます。
つまり、「欲しいかどうか」ではなく、「今、必要かどうか」が判断の基準になっているのです。
ここを見誤ると、“検討します”という先延ばしの断り文句に変換されてしまいます。
緊急性を演出しない限り、人は動かない
人は、今すぐやらなくていいことは後回しにする生き物です。
たとえば、「健康診断、行ったほうがいいですよ」と言われても、
「まあ、来月でいいか」となってしまう。
なぜなら“今じゃなくても死なない”から。
しかし、同じ健康の話でも「今放っておいたら糖尿病になりますよ。もう予兆が出てます」
と言われたらどうでしょう?急に「ヤバい」と思って動きますよね。
セールスも同じです。
「今でなければ損をする」「今だからこそ意味がある」というメッセージを加えるだけで、
相手の行動スイッチはガラッと変わるのです。
緊急性の伝え方には“理由”が必要
とはいえ、ただ「今がおすすめです!」と勢いで押すのは逆効果です。
大事なのは、「なぜ今なのか?」に合理的な理由を添えることです。
たとえばこんな感じ。
- 「今月中ならキャンペーン価格でご提供できます」
- 「新年度前に導入すれば、人事異動にも対応しやすいです」
- 「今このタイミングで乗り換えると、契約の重複期間がなくて済みます」
- 「この機能、来月から仕様変更があるので、今のうちの方が使いやすいですよ」
こうした“納得できる今の理由”があると、相手は「じゃあ、今やっておくか」と判断しやすくなります。セールストークにおいて、この“納得付きの緊急性”は超・重要なパーツなのです。
「今じゃなくていい」と言われた時の返し方
実際に「今は急ぎじゃないので…」と言われたときに役立つ返しがあります。
それは、
「では、〇〇になる前にご準備いただくのがベストかと思います」
という先回り提案です。
これは、「急がなくてもいい」ではなく、「今やっておけば後がラクになる」という未来志向の提示です。
これによって、「今、行動するメリット」に目を向けてもらうことができます。
つまり、“今やらないデメリット”ではなく、“今やっておく価値”を提示する。
これが、断り文句をチャンスに変えるカギです。