
こんにちは。
毛利まさるです。
なぜあなたは会社のメンター制度にモヤモヤするのか
会社でよくある「メンター制度」。
若手育成、心理的支援、キャリア相談
言葉としては美しいのに、なぜか現場ではピンとこない。
あなたも、その違和感を抱えたまま、制度上“与えられたメンター/メンティー”を演じてきたのではないでしょうか?
その結果、形式的な面談だけが残り、互いに「これ意味あるの?」という空気が漂う。
あなたがそう感じている理由は、単なる相性の問題ではありません。制度そのものが“前提を無視している”からです。
メンター制度が「理想倒れ」になる構造
多くの企業が導入しているメンター制度は、本来必要な“土台”が欠落した状態でスタートしています。
信頼関係のない2人が突然、深い悩みを共有できるわけがないにもかかわらず、
「今日からあなたのメンターです」とラベルを貼られることで、お互いが戸惑うのは自然です。
一緒に仕事をした経験があるわけでもなく、弱みを見せても大丈夫と思える関係でもない。
その状態で「キャリアを相談してね」と言われても、心は動きません。
信頼関係とは、日々の小さなやり取りの積み重ねの中でしか育たないものだからです。
そうした前提がないまま制度だけが動いてしまうと、メンター側は「忙しい中で義務感でやるだけ」、
メンティー側も「この人に本音を話して良いのか分からない」という状態になります。
結局、両者とも形式的な面談で終わり、制度は形骸化していくのです。
強制ペアリングの“見えにくい落とし穴”
ここで重要なのは、制度が上から割り当てられることで、双方の主体性が完全に失われてしまうことです。
「自分が選んだ相手」ではなく「会社の都合で決められた関係」からは、感情が生まれにくい。
心理的安全性も確保されません。
特に中堅社員のあなたからすれば、関わり方次第で評価につながる可能性すらある。
メンターに本音を言った瞬間、それがどこへ流れるかも心配になる。
「制度を回すことが目的」になってしまい、中身のない会話が続くのも無理はありません。
あなたの「なぜこの人とメンター関係に?」という疑問は、極めて健全な感覚なのです。
理想は「自分で選ぶ」しかし、現実にはハードルがある
あなたが提案している「自分が相談したい人を選べる制度」の発想は、非常に本質的です。
主体性、尊敬、好意──本来のメンタリングに必要な要素が自然と生まれるからです。
しかし現実の会社でこれをそのまま実現すると、
「人気投票になる」
「選ばれなかった人の不満が生まれる」
「人事が調整できず制度が崩壊する」
というリスクもあります。
あなたの立場では人事制度を変えられません。
では、どうすればよいのでしょうか?
会社の制度を変えられなくても“あなたが変えられる領域”はある
ここからが現実的な話です。
制度そのものを変えることはできないとしても、あなた自身のメンター制度との向き合い方は変えられます。
たとえば「割り当てられたメンター」との関係を“本命”にしなくていいのです。
会社が指定した関係は“形式的な窓口”として最低限こなすだけで十分。
むしろ、その外側で自分が信頼できる人に相談する環境を自分でつくればいいのです。
ここで誤解してほしくないのは、「制度を軽視しろ」と言いたいのではありません。
制度を“最低限機能させつつ”、あなた自身の成長につながる関係は別で築くという、現実的で賢明な二段構えを持つべきだということです。
現実的な運用方法「制度は形式、本命は自分でつくる」
制度がある以上、それを完全に無視することはできません。
しかし、あなたのキャリアを守るためには「形式」と「本音」を分離するのが最適です。
形式としての制度では、
・月1回の面談を淡々とこなす
・相談内容は当たり障りなく
・評価に響きそうな話題は避ける
この程度で問題ありません。
本命の相談相手は、明確に肩書きのない“信頼できる先輩”や“相性の良い同僚”でも良いし、部署外の人に個人的にアドバイスを求めても構いません。
ここには制度が介入しないため、心理的安全性が守られます。
あなたのような中堅社員は、制度に頼らず自分で“人的資本”を構築する時期に差し掛かっています。
制度に従うだけでは、キャリアに必要な深い対話は得られません。
制度を変えることができない人こそ「自分のメンター」を裏側で持つべき
最後に強く伝えたいことがあります。
メンター制度が機能するかどうかは、制度そのものより、あなたが誰とつながり、誰から学ぶかを主体的に選べているか によって決まります。
制度を変えられなくても、あなたの相談相手、学びの源泉、成長のきっかけは自分で決めることができます。むしろ、制度に頼らないメンターほど役立つことが多い。
あなたの弱みも本音も、上下関係を気にせずに話せるからです。
会社の制度に完全に委ねる必要はありません。
形式は形式として扱い、あなた自身の“本当に頼れる人”を自ら選ぶ。
この二段構えこそが、もっとも現実的で、もっとも効果の出る方法です。





