
こんにちは。
毛利まさるです。
会議中、ふいに上司が部下を「君」や「ちゃん」で呼ぶ。
あなたもその場で思わず空気が揺れるような違和感を覚えたことがあるのではないでしょうか。
一見するとフランクなコミュニケーションに見えるものの、仕事の場面で私的な呼び方をされると、
「あれ?ここは会社の“公”の場ではなかったのか?」という感覚が生まれます。
こうした違和感が積み重なると、職場の雰囲気はじわりと濁り、組織の信頼関係にも影響が出てくるのです。
公と私があいまいになる瞬間がなぜ問題なのか
ビジネスの現場は“公”の空間です。
立場や関係性にかかわらず、そこではプロとして振る舞うことが求められます。
ところが、公の場で「君」「ちゃん」と呼ぶ行為は、関係性を私的なレイヤーに引きずり込み、共通のルールを曖昧にしてしまいます。
その結果、呼ばれた本人はもちろん、周囲のメンバーにも「この会社は人によって扱いが違うのか?」という印象が生まれてしまいます。
これは上司が意図していなくても起こる“無自覚な線引き”であり、組織文化の質を下げる大きな要因です。
役割の違いは“上下”ではなく“ポジションの違い”にすぎない
そもそも組織というのは集合体であり、上下関係で動くのではなく、役割の違いで構成されています。
スポーツと同じで、ピッチャーとキャッチャー、フォワードとディフェンダー。それぞれの役割が違うだけで、優劣があるわけではありません。
しかし、公の場で私的な呼び方をすると、まるで“上が下を呼びつける”ような印象を生んでしまう。
それは本来の役割構造とは異なる“上下の物語”を勝手に作り上げてしまう行為なのです。
呼び方ひとつで、組織の関係性はここまで変わります。
だからこそ、ビジネスの場では名前や敬称を丁寧に扱うことが重要になります。
無意識の呼び方が信頼の質を左右してしまう理由
上司が「たまたまの癖」でそう呼んでいたとしても、部下にとっては“仕事のアイデンティティ”を揺らす行為になり得ます。
あなたが公の場で立場を尊重してほしいと思うのと同じように、他のメンバーもプロとして扱われたいと感じています。
そして、こうした呼び方は一度許されると組織全体に広がり、
「この程度はいいよね」という空気が定着します。
その空気こそが、職場の質を下げるもっとも危険な要素です。
プロの場では、公の基準にそって関係性を扱うことで、信頼が積み上げられていきます。
信頼とは、特別扱いではなく、公平な扱いの中にはじめて育つものなのです。
現代の組織が求めるコミュニケーションという視点
いまの時代、管理職に求められるのは、“距離の詰め方”ではなく“線引きの正確さ”です。
誰に対してもプロとして向き合う姿勢があれば、必要以上にフランクにならなくても信頼は勝手に積み上がります。
なぜなら、公の場で適切なコミュニケーションが行われることこそ、組織全体が安心して働ける“土台”になるからです。
職場は友達関係とは違います。
フラットであっても、馴れ合いではありません。
権威的ではないが、節度は保つ。
この“絶妙なバランス”こそが、現代マネジメントの要なのです。
呼び方は小さな問題に見えて、組織文化を左右する
会議での「君」「ちゃん呼び」はただの言葉の癖に見えるであるものの、その裏には、公と私を混同し、組織の公平性を揺るがすリスクがあります。
役割は違っても、人としての尊重は同じです。
スポーツのように“ポジションが違うだけ”という認識で、公の場では誰を相手にしても丁寧に接することが求められます。
こうした細やかな線引きができる組織ほど、メンバーが安心して力を発揮でき、信頼関係が自然と強くなっていくのです。





