
こんにちは。
毛利まさるです。
「それ、結局なにが言いたいの?」
こんな言葉をかけられた経験はありませんか?
一生懸命に話したつもりなのに、相手には何も伝わっていなかった。
セールスの現場では、そんな“言葉のすれ違い”が致命傷になります。
セールスは、商品やサービスを届ける仕事であると同時に、
相手の感情や思考に働きかける仕事でもあります。
言葉というツールの扱いが、その成否を大きく左右するのです。
たとえば同じ商品を紹介していても、
「こちら、人気の商品です」だけで終える人と、
「先日、同じような課題を持っていたお客様がこれを使われて
『ようやく本来の業務に集中できるようになった』
とおっしゃっていました」と伝える人とでは、
相手に与える印象はまったく異なります。
言葉が磨かれている人ほど、相手の心に深く届きます。
これは、セールストークに限らず、
自分自身の振り返りにおいても同様です。
xたとえば、「あれはやばかった」とだけ記録して終わる人と、
「あの時、〇〇という言葉を使ったときに、
相手の表情が一瞬曇った。
その後、少し沈黙が流れたので
『いかがされましたか?』と投げかけたが、
『いや、大丈夫です』との返答。
もう少し違う言葉を選べていれば、
相手の本音を引き出せたかもしれない」
と詳細に言葉を振り返る人とでは、明らかに成長の速度が異なります。
これは医師の診察にも通じる話です。
「のどが痛い」という症状ひとつを取っても、
優れた医師はその背景にある可能性を言葉で丁寧に探ります。
咽頭炎かもしれないし、扁桃炎かもしれない。
あるいは声帯ポリープの可能性もある。
表現の数が豊富だからこそ、原因に迫れ、
適切な処置ができるのです。
「のどが痛い」で終わらせず、
「飲み込むときに痛いのか、声を出すときに痛いのか」
と掘り下げていく。言葉の力は、専門性の証でもあるのです。
つまり、セールスという仕事において、
言葉を磨くとは“プロフェッショナルになる”ということに他なりません。
自分の言動を詳細に振り返り、そこにある感情や反応、
言葉のニュアンスを丁寧に捉える。こうした積み重ねが、
次の商談の質を劇的に高めていくのです。
そしてもう一つ。言葉を磨くとは、
相手の心に寄り添うということでもあります。
的確な一言は、相手の心を開き、信頼を築きます。
「わかってくれている」と感じさせる言葉の背景には、
深い観察力と豊かな語彙力があります。
これは生まれ持った才能ではなく、日々の鍛錬でしか培えないものです。
セールスの世界で結果を出している人ほど、
言葉にこだわりを持っています。
台本通りに話すのではなく、一つ一つの言葉を選び抜き、
時に自らを省みながら
「もっと良い伝え方があったのではないか?」と自問する。
その積み重ねが、確かな信頼を生み、
長く選ばれるセールスパーソンを育てるのです。