背中を押してあげること

こんにちは。
毛利まさるです。

突然ですけどあなたはクロージングの際に
熱意だけで押し切ろうとしていませんか?

クロージングの場面で、お客様に「ぜひご検討ください!」
「よろしくお願いいたします!」
と頭を下げた経験があるかもしれません。

お客さんはメリットを提示し、
ベネフィットを理解してもらい、
価格も納得済み。論理的には何一つ障壁がないはずなのに、
なぜか相手が「はい」と言ってくれない。

そんな瞬間に直面したことがあるセールスパーソンは多いでしょう。

そのとき、あなたはつい
「最後は気合いで」
「お願いモードで」
と力技に走ってしまっていませんか?

しかし、それは相手が抱えている唯一の障壁が感情であることを
見落としている状態です。

クロージング直前の相手の心にあるのは、
「失敗したらどうしよう」
「後で後悔したら嫌だな」という、
ほんの小さな恐怖です。

これは理屈ではありません。
どれだけ合理的な説明をしたところで、
人は感情に左右されます。

そしてこの感情の壁を超えるために必要なのは、
営業側の熱意や勢いではないのです。

必要なのは、「寄り添い」です。

たとえば、断崖絶壁を前にして
一歩踏み出せない人がいるとします。

後ろから「行け!」と押されたらどうなるでしょうか?
その人はバランスを崩し、恐怖を増し、
もしかしたら二度と進もうとしないかもしれません。

一方で、その隣に立って、
「怖いのはわかるよ。でも僕が一緒にいるから」
とそっと手を差し出されたら?

人は、ほんの一歩でも前に進もうとするものです。
セールスのクロージングも同じです。

売ることが目的なのではなく、導くことが目的なのです。

「ぜひご検討を」ではなく、
「ご一緒に始めてみませんか?」というスタンス。
相手の立場に立ち、安心感を与える言葉を選ぶこと。
たとえ口に出さなくても、
「この人は私のことを見てくれている」と相手が感じる瞬間、
それが本当のクロージングです。

つまり、セールスとは背中を押してあげる行為であって、
決して肩を叩いて急かすものではありません。

クロージングの本質は、売り込みではありません。
相手の不安に耳を傾けること。心に寄り添い、
「きっと大丈夫ですよ。頑張っていきましょう」と、
静かに伝えること。

その姿勢が相手に信頼を与え、
やがて「よし、お願いしよう」という言葉へとつながっていくのです。

セールスとは、売ることではなく、伴走すること。
そしてクロージングとは、お願いすることではなく、
背中を押してあげることなのです。