マネして良いトークとマネしてはいけないトーク

こんにちは。
毛利まさるです。

誰かのセールストークを完コピしてみたけど、
全然響かなかった

そんな経験はありませんか?

会社から用意されたセールストーク
「この言い回しを覚えさえすれば、私も成果が出るはずだ」
と思ってしまうのも、無理のないことです。

しかし、現実はそう甘くありません。
なぜなら、セールスというのは「トークの正確さ」ではなく、
「あなたの存在そのもの」が相手の心を動かす行為だからです。

もちろん、セールスにおいてトークスキルは非常に重要です。
言葉一つでお客様の表情が変わり、
タイミング一つでクロージングの流れが左右される。

それがセールスのリアルです。
であるものの、そのトークがどれほど完璧に構成されていたとしても、
「あなたの言葉」になっていなければ、相手には届きません。

マネして良いトークとは何か?

それは「構造」や「意図」を学ぶべきものです。

たとえば、「相手の悩みを引き出すには、まず共感から入る」
「断られたときには、選択肢を提示して再提案する」など、
心理的な原理に基づいたフレームワークは、学ぶ価値があります。

そして、実際の音声を通して、
それがどんな言い回しで実行されているのかを知ることは、
大きなヒントになります。

一方で、マネしてはいけないトークもあります。

それは「相手の感情の背景を無視した表面的な模倣」です。
つまり、「売れている人が使っていたから」という理由だけで、
そのまま言葉をコピーしても、それがあなたの声色、
テンポ、空気感に合っていなければ、むしろ逆効果になるのです。

特に注意したいのは、業界や商材、
そして顧客層が異なる場合のトークの流用です。

たとえば、BtoBの法人営業と、BtoCの個人営業では、
言葉の重みややり取りのリズムがまったく違います。

医療業界とIT業界でも、信頼を築くスピードや
専門用語の使い方に差があるのです。

ですから、どれほど華やかに響くトークであっても、
自分の業務領域に落とし込んで再構築しなければ、
本当の武器にはなりません。

もうひとつ重要なのは、
自分の言葉になっているかどうかです。

セールスは、最終的には人と人との信頼で成り立つ行為です。

他人の言葉をそのまま借りて話すだけでは、
どこか地に足がついていない
軽い言葉になってしまうのです。

つまり、セールストークを学ぶときは、
「誰が」「どんな意図で」「どんな場面で」
その言葉を使っているのかを深く観察し、
それを自分のスタイルに翻訳する視点が欠かせません。

トークをそのままなぞるのではなく、
「自分だったらどう表現するか」を考えることで、
はじめて“自分の武器”として機能し始めるのです。

ですから、次に誰かのトークを聞く機会があれば、
その言葉を「盗む」のではなく、
「分解して、再構築する」意識で聞いてみてください。

何を伝えようとしているのか、なぜその順番で話しているのか、
その言葉にどんな感情が乗っていたのか
それを感じ取る力こそが、本当のトーク力です。

そして、あなたの言葉で、あなたの声で、
あなたのテンポで話してください。
そのときこそ、セールスは“あなたらしさ”という最大の武器を手にするのです。