二つのキャラを持つ

こんにちは。
毛利まさるです。

セールスの現場では、どれだけ話がうまくても、
どれだけ商品知識が豊富でも、
「なんとなく信用できない」
と思われてしまえば、それで終わりです。

では、どうすれば人から信頼され、
また魅力的に映るのでしょうか?

答えのひとつは、“二つのキャラ”を持つことにあります。

例えば、「明るい人」は周囲を和ませ、
初対面の相手の緊張を解いてくれます。

セールスの初動ではとても有効です。
しかし、その明るさばかりが前面に出ると、
「軽い人」「適当な人」という印象を与えてしまうこともあります。

逆に、「真面目な人」は誠実さや堅実さを印象づけることができます。
しかし、それだけだと堅苦しく見えたり、
近寄りがたいと感じられるリスクもあるのです。

大切なのは、明るさと真面目さの“両方”を持っていることです。

笑顔で人と接しつつ、商談の締めどころでは真剣な眼差しで伝える。
そのスイッチの切り替えが、相手の信頼を生み出します。

また、見た目についても同様のことが言えます。

第一印象が「ちょっと怖そう」
「話しかけづらそう」と感じられる人が、
ふとした瞬間に優しい声をかけたり、
思いやりのある行動を取ったとき、
人はそのギャップに強く惹きつけられます。

これは心理学でいう「ゲイン・ロス効果」です。

プラスからマイナスよりも、
マイナスからプラスへの変化のほうが人の印象に強く残るのです。

つまり、セールスにおいて“ギャップ”は最大の武器になります。

一貫性ばかりを重視して
「真面目なら真面目なだけで貫こう」としてしまうと、
人間味を感じさせるチャンスを自ら失ってしまいます。

明るさの中に誠実さがあり、
怖そうな見た目の奥にやさしさがある。

その二面性こそが、あなたという人間の厚みになり、
商品やサービスを超えた
「この人から買いたい」
という感情を呼び起こすのです。

誤解しないでいただきたいのは、
偽る必要はないということです。

明るさも真面目さも、見た目の印象も優しさも、
すべて「自分の中にすでにあるもの」で良いのです。

ただ、それを“場面に応じて出し分けられるかどうか”が、
プロフェッショナルとしての
セールスパーソンとそうでない人の分かれ道になります。

あるいはこんな経験はないでしょうか?

お客様との打ち合わせで盛り上がり、
「この人はノリが良くて好きだな」
と思ってもらえたはずなのに、
いざクロージングの段階で説得力がなく、受注を逃してしまった。

あるいは、初回から丁寧に資料を用意し、
理路整然と話をしたものの、クロージングで
「検討しますね。」と言われ、結局選ばれなかった。

これは“キャラの一貫性”ではなく、
“キャラの幅”が求められる瞬間だったのです。

人の魅力とは、一言で語りきれないからこそ魅力なのです。

そして、その“語りきれなさ”を意図的に演出できる人は、
セールスの場で圧倒的な力を持ちます。

あなたが今、「自分はどんなキャラで見られているか?」
を客観的に振り返ってみてください。

それが、次の成長のきっかけになります。
明るさと真面目さ。見た目の怖さとやさしさ。
このような両方を持ち合わせることが、
セールスにおける“最強の武器”になるのです。