アンテナを持つ

こんにちは。
毛利まさるです。

自分ではしっかり話を聞いているつもりだった、
気を配っているつもりだった。
しかし、相手からの評価は真逆だった。
そんな経験をしたことがある人は少なくないでしょう。

私には、かつて夢中になっていた趣味があります。
それはマジックです。

トランプカードを使った技術を毎日磨いていました。
日々カードに触れ、手の感覚を研ぎ澄ましていくうちに、
数枚であれば手触りだけでその枚数がわかるようになったのです。

これに何か特別な才能が必要だったかというと、
決してそんなことはありません。
触れ続け、観察し続けた結果として、
自然とその感覚が養われたのです。

この経験は、私のセールスにも大きな示唆を与えてくれました。

商談において、相手の表情や目線、
声のトーンの変化に気づけるかどうか。

それは偶然や才能ではなく、
「日々アンテナを張っているかどうか」
で決まるのだと気づかされたのです。

セールスは情報戦であるものの、
その情報は言葉の中にだけあるわけではありません。

むしろ、言葉に出てこない空気の揺らぎのような情報に、
重要なヒントが含まれていることが多いのです。

たとえば、ある商品に強い興味を示していたはずのお客様が、
ある瞬間だけ微かに眉をひそめた。
そのわずかな表情の変化に気づけるかどうかで、
次の一手はまったく異なるものになるのです。

しかし、この「気づく力」は、
意識して鍛えなければ確実に鈍っていきます。

日々の会話でも、何気なく過ごしていれば
相手の発言をそのまま受け取るだけで終わってしまいます。

しかし、そこに「この人はなぜ今その言葉を選んだのか」
「本当に言いたいことは他にあるのではないか」
という視点を持つだけで、見えるものが変わってくるのです。

つまり、セールスの現場においても
常にアンテナを張り巡らせている人は、
情報の受信感度が極めて高くなります。

そして、その感度が高ければ高いほど、
お客様の本音に近づくことができます。

表面の言葉に振り回されず、真のニーズを汲み取る力。
これこそが、成果を安定させる鍵となるのです。

まずは、今日から人と会話するたびに、
「この人は何を考えているのだろう?」
「なぜ今、それを言ったのだろう?」
と一度立ち止まってみてください。

それを繰り返すことで、あなたのアンテナは次第に研ぎ澄まされ、
やがて“勘”と呼ばれるものに進化していきます。

セールスは、目に見える言葉だけで成立する仕事ではありません。
むしろ、目に見えない気配や心の動きを
とらえられるかどうかが、結果を分けるのです。

アンテナを持ち、感度を高めること。
それが、あなたのセールス力を
もう一段階上のステージへと引き上げてくれるはずです。