
こんにちは。
毛利まさるです。
「この人、なんでそんなこと聞いてくるんだろう?」と感じた経験はありませんか?
商談中や社内の打ち合わせ、ちょっとしたやりとりの中で、「あれ?今の質問ってなんの意図だろう?」と感じたことはないでしょうか?
たとえば、自信をもって提示したグラフを見て、「これはなぜこのグラフなんですか?」と聞かれたとします。
あなたはその質問に、まっすぐ真面目に答えるかもしれません。
けれど、なんとなくその場の空気が変わったり、「あれ?響いてない?」と感じたりしたことがあるはずです。
その“違和感”。実はとても重要です。
言葉は、氷山の一角である
心理学では「氷山モデル」という概念があります。
人の発言や行動というのは、あくまで氷山の「上に出ている部分」であり、
その下には感情・欲求・価値観といった見えない「本質」が隠れています。
つまり、お客さんの一言には、裏に“別の意味”が隠れていることがあるということ。
「なぜこのグラフなのか?」と聞かれたとき、その意図は以下のように分かれることがあります。
- 純粋に興味があって聞いている
- 話の主導権を握ろうとしている
- 他の部下や同席者に“自分の立場”を示したい
- その提案に対して疑念を抱いている
だからこそ、ただ言葉尻だけを捉えて正面から答えてしまうと、相手の心に“ズレた”対応をしてしまう危険があります。
「その質問力、素晴らしいですね」と返してみる
営業の現場でたびたび出てくるのが、「どうでもいい質問」が飛んできたときの対応です。
このとき、あえて詳細に答えずに、
「今のご質問、さすがですね」
「そこに気づくのは本当に鋭いです」
といった“承認”で返すと、相手の態度が変わることがあります。
なぜなら、相手が欲しかったのは「回答」ではなく、「承認」だったからです。
セールスメンタルとは、こうした“言葉の奥にある感情や目的”を見抜く感性を鍛えることでもあるのです。
質問の裏にある心理を読み解く力
営業というのは「答える」仕事ではなく、「聞く」仕事です。
そして、ただ質問を聞くだけではなく、その背後にある“真意”を探る力が問われます。
たとえば、
- 「資料に間違いはありませんよね?」
→ 実は「信頼できる人なのか」を見ている - 「他社さんの事例はありますか?」
→ 単に競合との比較がしたいのではなく、「自分が後で説明責任を果たせる材料」を探している
このように、言葉をそのまま受け取るのではなく、“なぜ今その質問をしたのか”を考えるだけで、対応は全く変わってきます。
答えることよりも「意図を汲み取る」ことが価値
ビジネスの現場では、「正解を出す人」よりも、「空気を読む人」のほうが評価されることがあります。
これは、忖度という意味ではなく、「相手の欲しいものを正確に把握する力」のことです。
発言の奥にある感情、欲望、目的を捉える力。それがあれば、相手の期待を少し超えることができます。
セールスメンタルとは、まさにこの感性の積み重ねです。
観察力を高めよう。相手は言葉以外でも語っている
相手の表情、声のトーン、視線の動き、腕組み、間の取り方…。
こうした非言語の情報も、言葉と同じくらい、いやそれ以上に相手の本音を語っていることがあります。
私自身、ある商談で「今日は資料を確認するだけにします」と言われたにもかかわらず、
相手の興味深そうな表情に気づいて、少しだけ踏み込んだ提案をしたところ、その場で受注が決まったことがありました。
言葉に出ない気持ちに寄り添うこと。
れこそが、営業や人間関係において最大の武器になるのです。