
こんにちは。
毛利まさるです。
心が傷ついたとき、簡単に立ち直れない自分に嫌気がさす。
特に、セールスの現場では数字が結果として
突きつけられるうえに、周囲からのプレッシャーも強く、
思うように成果が出なかった日には
「自分ってダメなのかもしれない」
と思い詰めてしまう方も少なくありません。
今回は、そんな感情をしなやかに乗り越える
「レジリエンス=心の回復力」
を高める考え方をご紹介します。
鍵となるのは、ABC理論です。
ABC理論とは、アルバート・エリスという
心理学者が提唱した考え方で、
A:Activating events(出来事)、
B:Belief(信念・認知)、
C:Consequences(結果)の頭文字をとっています。
この理論の重要なポイントは、
「出来事(A)が直接、結果(C)を引き起こすのではなく、
その間にある認知(B)がCを決定づけている」
という点です。
つまり、セールスでクレームを受けた、
アポが連続でキャンセルされた、
上司から厳しい言葉を投げかけられた
このような出来事そのものが、
あなたを落ち込ませているのではありません。
「自分には価値がない」「また失敗した」
「あの人に嫌われた」といった、
出来事に対する“意味づけが、
落ち込みやストレスといった感情的な結果を引き起こしているのです。
であるものの、多くの人はこの“B”を無意識に捉えてしまっています。
だからこそ、「なんでそんなことで?」と周囲に言われる。
逆に言うと、自分自身の“B”を客観的に見つめ直すことができれば、
心のダメージは大きく変えることができるのです。
例えば、アポイントをすっぽかされたときに、
「自分には価値がない」と捉えるのではなく、
「相手の都合が急変しただけ」と考えることもできます。
「今度改めて連絡して、関係性を深めるチャンスにしよう」
と再定義すれば、落ち込みの感情は減り、
むしろ前向きな行動に変えることもできるのです。
レジリエンスとは、生まれつきの強さではありません。
それは、「自分の認知のクセ」を知り、
出来事に対して意味づけを変える力を育てることで、
誰でも高めることができます。
そして、これはセールスの現場において、
非常に実践的なスキルとなります。
セールスでは「断られる」ことが前提です。
そのたびに感情を大きく揺らしていたら、
続けることはできません。
しかし、「断られるのはタイミングが合わなかっただけ」
「この人には今は必要なかったが、またの機会があるかもしれない」
などと考えることで、行動を止めずに済むようになります。
また、レジリエンスが高い人は、周囲にも好影響を与えます。
ネガティブな出来事に対して過剰に反応せず、
冷静に意味づけを再構成できる人は、
チーム内でも安心感を生み、信頼を集める存在となります。
セールスにおいては、クライアントの感情を受け止めつつ、
建設的な提案をする必要があるため、
自分自身の感情に振り回されない力は極めて重要です。
あなたの中にある「信念」や「思い込み」は、
気づかぬうちに日々の行動を左右しています。
セールスの場面でも、プライベートでも、
自分がどのように出来事を受け取り、
どのように意味づけているのかを意識してみてください。
その瞬間から、あなたのレジリエンスは確実に高まっていきます。
出来事はコントロールできなくても、
解釈の仕方は自分で選べる。
それが、ストレスに負けずに前を向く第一歩であり、
成果を生み出し続けるセールスパーソンに求められる
「心の技術」なのです。