社内で意見を通すこともセールス

こんにちは。
毛利まさるです。

社内で誰かに何かをお願いした際、
明らかに不満げな態度を取られた経験はありませんか?

部署が違う人に資料作成を依頼したり、
会議の調整を頼んだり、あるいは同じチーム内でさえ、
ちょっとした協力を求める場面で、空気がピリつく。

自分の立場では言い返せない相手もいれば、
「なんでこっちがそこまで?」と疑問を持たれることもある。

実はこういったやり取り、
すべて「社内セールス」と言っても過言ではありません。

セールスとは、単に社外の顧客にモノやサービスを
売ることだけを指すのではなく、
「人の行動を促すためのコミュニケーション手段」
そのものであるからです。

社内で意見を通すこと、協力を得ること、調整を進めること。

これらはすべて、自分の意見を“買ってもらう”行為です。
そしてそれは、社外のお客様に製品を売るのと
まったく同じ構造を持っています。

多くの人が誤解しているのは、
「自分の方が立場が上なんだから、お願いすればやってもらえる」
と思っている点です。

確かに、組織において役職や上下関係はあります。
しかし、人は感情で動きます。
指示されれば動くというものではないのです。

相手が「納得できる理由」があるとき、人は自ら動きます。

だからこそ、社内で何かをお願いしたり、
自分の意見を通したいときには、
「その人にとってどんなメリットがあるか」
を丁寧に伝えることが極めて重要です。

たとえば、
「この資料を先に仕上げてもらえると、
 来週のプレゼンであなたの部署の取り組みも
 目立ちやすくなります」
とか、
「この手続きが早く通れば、全体の進捗が前倒しできて、
 チーム全体の評価も上がります」
といった具合に、相手にとっての価値や利点を明確に示すのです。

であるものの、このアプローチには時間も工夫も必要です。

単に「お願いする」だけなら、
メール1通で済むかもしれません。

しかし、「動いてもらう」ためには、相手の立場を理解し、
相手のスケジュールや優先順位に寄り添いながら、
言葉を選び、タイミングを見計らわなければなりません。

つまり、社内で意見を通すという行為も、立派なセールス活動なのです。

それを「仕事の範疇外」として軽視してしまう人は、
結果的に社内での信頼や協力を得ることができず、
孤立してしまうこともあります。

逆に、「社内での働きかけ」も営業活動の一環だと認識し、
相手にとっての“価値”を言語化できる人は、
自然と人を動かす力を身につけていきます。

セールスとは「納得感をつくる仕事」です。
社内であっても、セールスの本質は変わりません。
むしろ、社内という近い距離だからこそ、
感情や人間関係のしがらみが大きく影響します。

そこに敬意と誠実さを持ち込めるかどうかで、
あなたの意見が通るかどうかが決まるのです。

社外の顧客に商品を売るときと同じように、
社内でも「相手の課題を理解し、それを解決する提案をする」
という姿勢で臨んでください。

そうすれば、あなたの働きかけはただの“お願い”ではなく、
“価値ある提案”に変わります。