
こんにちは。
毛利まさるです。
あなたは、話を聞いているうちに
「何となく納得させられた」と
感じたことはありませんか?
気がつけば、相手の主張が正しいように思えてしまい、
「まあ、そういうものかもしれない…」と受け入れてしまう。
しかし、その論理は本当に正しいのでしょうか?
そこで今回は、悪意のある相手に説得されないための方法を、
セールスの観点からお伝えします。
実は、悪意ある説得方法として「循環論法」があります。
循環論法とは、ある主張を証明するために、
その主張自体を前提として使う論法のことです。
たとえば、こんな会話を想像してください。
「この商品は効果がありますよ。」
「なぜ効果があると言えるのですか?」
「なぜなら、たくさんの人が使っているからです。」
「たくさんの人が使っている理由は何ですか?」
「それは、この商品に効果があるからです。」
このように、「効果がある理由」を説明するはずが、
いつの間にか「効果があるから効果がある」
というループになっています。
一見すると論理が成立しているように思えますけど、
よく考えると、何も証明されていないことが分かります。
循環論法は、巧妙に使われると見破るのが難しくなります。
たとえば、あるセールストークでは、
次のような形で展開されることがあります。
「このサービスは、業界トップ10社のうち8社が導入しています。」
「なぜそれが優れたサービスなのですか?」
「トップ企業が導入するには、事前に厳しい審査を経ています。」
「でも、それはトップ企業だからこそできるのでは?」
「そうです。成功する企業は優れた選択をするからトップなのです。」
「ということは、このサービスが成功の要因という証拠は?」
「導入した企業は、どこも業績が良好です。」
「それはもともと成功している企業だからでは?」
「ですが、このサービスを選んだからこそ、さらに成長したのです!」
一見、もっともらしいことを言っているように聞こえます。
しかし、冷静に考えてみてください。
成功している企業が選んだ
→ だからこのサービスは優秀
→ だから成功している企業が選ぶ
→ だから成功する
結局、このサービスの証拠はどこにもないのです。
成功の要因がサービスそのものなのか
もともとの企業の力なのかが曖昧になっています。
こうして、巧妙な循環論法を作り上げ
相手を納得させようとするのです。
これこそが、循環論法の怖いところです。
循環論法は、文章で読めば見破りやすいですけど、
口頭で聞くと、流れに引き込まれてしまうことが多いのです。
なぜなら、人間の脳は情報を整理しながら
処理するのが苦手だからです。
特に、次のような状況では要注意です。
専門用語を多用される(「これは〇〇理論に基づいていて…」)
話の展開が速い(「つまり、こうなって、こうなるわけです!」)
権威を利用される(「〇〇博士も言っています!」)
こうした要素が組み合わさると、
「何やら難しそうだけど、正しいのだろう…」
と思ってしまうのです。
これは、詐欺や誇大広告でもよく使われる手法なので、
十分に注意が必要です。
では、循環論法に騙されないためには、どうすれば良いのでしょうか?
それは話の流れを紙に書くことです。
口頭での会話は、流れに流されやすくなります。
そこで、一度話を整理するために、
相手の主張を紙に書き出すことが有効です。
たとえば、次のように整理します。
- AはBだから正しい
- BはCだから正しい
- CはAだから正しい
このようにループができていたら、
それは循環論法である可能性が高いです。
あなたも、日々の仕事やセールスの場面で、
こうした論理に惑わされないよう、注意してみてください。