単純化しすぎると営業は強くならない理由とは

こんにちは。
毛利まさるです。

営業成績が伸びず、日々のプレッシャーに押しつぶされそうになっている。
そんな時あなたは、自分の努力が報われない理由を「自分の力不足」と単純に結びつけてしまっているのではないでしょうか?
その結果、自信を失い、将来への不安が重くのしかかっていると思います。

しかし、あなたが成長できていないのは能力の問題ではなく、物事を“単純化しすぎて”理解しようとしているからです。

歴史をひもとくと、単純化の危険性がよくわかります。おわかりでしょうか?

単純化しすぎた理解は「本質」を奪う

元寇について、多くの人は「神風が吹いたから日本は勝てた」と認識しています。
あなたはそのように捉えていたのではないでしょうか?

確かにそれは一理あります。
であるものの、それだけで片づけてしまうと、鎌倉幕府は運だけで勝利したと言っているようなものです。
しかし、実際にはそんな単純な話ではありません。

元には元の事情がありました。南宋との長期戦で疲弊していたこと、高麗に対する無理な造船指示により艦隊の質が低下していたこと、日本海の荒波や台風の季節、鎌倉武士の戦術、弓の性能の違いなど、複数の要因が複雑に絡み合っています。

つまり、単純化は一見わかりやすく見えても、背景や本質を理解するためにはむしろ邪魔になることがあるのです。

営業も「単純化しすぎる」と成長が止まる

これはセールスの世界でもまったく同じです。

商談がうまくいかなかったとき
「商品の魅力を伝えきれなかった」
「相手が冷たかった」
などと単純化してしまっていないでしょうか?

その結果、改善策が浅くなり、いつまでも同じ壁にぶつかると思います。

しかし、商談には必ず複数の要因が絡んでいます。
相手の置かれた状況、社内事情、あなたの説明スピード、使った事例の選び方、タイミング、会話の流れ。

これらを丁寧にひもとさない限り、原因の核心にはたどりつけません。

単純化しても全体像を把握するためには役立つことがあります。
ですので、振り返りにおいて簡潔にまとめる作業自体は必要なのです。

しかし、個々の要因を深掘りするときに単純化しすぎると、見逃してはいけないポイントが消えてしまいます。逆に言うと、本質的な改善策にはたどりつけないのです。

本質をつかむ営業は「複雑さ」に向き合っている

結果を出すトップセールスは例外なく
「なぜ、相手はその反応だったのか」
「どの瞬間に意思決定が揺れたのか」
「どうすれば相手の懸念を先回りできたか」
という“複雑な要因”を丁寧に探ります。

たとえ一度成約できなかったとしても、そのために落ち込むのではなく、そのために具体的要因を深掘りするのです。
単純な総括ではなく、背景を掘り下げる。これができる人だけが、営業として階段を登り続けます。

単純化と深掘りの「バランス」で営業は強くなる

単純化は悪ではありません。
むしろ、使う場面を間違えなければ非常に役に立ちます。

商談の要点をまとめるとき、会議で報告するとき、チームに共有するときには必要です。
まとめることで理解しやすくなるため、全体最適が進みます。
しかし、改善や分析の段階では単純化しすぎると“真の原因”は見えなくなります。
単純化と深掘りを使い分けることが、あなたの営業力を劇的に変えるのです。