決まりきったトークの終焉

こんにちは。
毛利まさるです。

営業がAIに取って代わられる不安はありませんか?

営業はAIにとってかわられる。そんな不安を感じたことはないでしょうか?

生成AIが普及して、スペック比較、見積もり作成、定型FAQ対応は、正直かなりの部分がAI(LLM)で完結する時代になりました。

顧客は「情報」だけが欲しいなら、営業と話す時間を“コスト=面倒”だと感じて、まずはネットやAIで調べます。
ここはもう、流れとして止まりません。
ですので、決まりきったトークはもはやあまり価値はありません。

しかし、だからといって営業という仕事が消えるかと言うと、私はそうは思いません。
むしろ「営業の役割が、ようやく本質に戻っていく」と考えた方がラクです。

情報提供の価値が下がるなら、逆に“人にしかできない価値”が浮き彫りになるからです。

AIが強い領域と、営業が強い領域

AIが強いのは、「条件が決まっている情報処理」です。
つまり、比較して、整理して、テンプレで答える。
ここはAIが得意であるものの、顧客の頭の中はいつも“条件が決まっている”とは限りません。

たとえば「結局、どれが自分に合うの?」
「上司に説明するなら要点は?」
「失敗したくないんだけど、何を優先すべき?」
この“迷い”が入った瞬間、情報は同じでも、必要な答えが変わります。

さらに厄介なのは、AIとの会話で顧客がイライラする瞬間です。
質問がうまく言語化できない、前提がズレる、話が長い、確信が持てない。
こうなると顧客が欲しいのは情報ではなく、「端的に要点を整理してくれる存在」と「背中を押してくれる存在」です。

「最後の一歩」は、まだ人に軍配が上がる

顧客が行動しない理由は、知識不足だけではありません。
多いのは、怖さです。失敗したらどうしよう、選んだ後に後悔しないか、社内調整が面倒、決裁が通るか不安。
こういう“感情のノイズ”は、FAQでは消えません。

ここで営業がやるべきことは、説得ではなく整頓です。

頭の中の散らかった論点を並べ替えて、「結局、意思決定に必要なのはこの2点ですね」と言い切る。
そして「その2点を満たすなら、次の一歩はこれです」と、一歩だけ具体化する。これができると、顧客の心の負荷が落ちます。

私はよく、こう言います。「クロージングは押し切ることではない」

押した瞬間に、相手の抵抗は増えます。
しかし、相手の迷いが“整理”された瞬間に、行動は自然に前へ進みます。
AIが情報を出す時代だからこそ、営業は「決断を軽くする仕事」に進化すればいいのです。

勇気づけて行動を促す営業が、今日からできること

ここからが実務です。大げさなスキルより、普段の会話の設計を変える方が早いです。
まず、顧客が言った言葉をそのまま繰り返すのではなく、「迷いの正体」に翻訳して返します。

「比較したい」なら「失敗したくない」。
「上司がうるさい」なら「説明コストを下げたい」。
「検討します」なら「決め手が足りない」か「責任を負いたくない」。

この翻訳が当たると、顧客は“理解された”と感じます。理解された瞬間、人は前に進めます。
次に、「次の一歩」を小さくします。提案は立派であるものの、行動が大きいと止まります。

「まずは15分だけ、導入後の運用イメージを一緒に作りましょう」みたいに、心理的ハードルを下げる。
営業の仕事は、決断を迫ることではなく、決断できる状態に整えることです。