絶対に避けるべき“軽い称賛”の落とし穴

こんにちは。
毛利まさるです。

営業の現場では、勢いのある言葉やテンション高めの褒め言葉を耳にすることがあります。

「すごいっすね!」「マジやばいっす!」
一見すると明るくてノリが良い印象を与えますけど、
あなたもどこかで「中身が薄いな」と感じたことがあったのではないでしょうか?

その違和感は正しいのです。

なぜなら、ノリだけの言葉は相手の心に残らず、結果的に“信用されない人”という評価につながるからです。
こうした軽い言葉は、その場の雰囲気を和らげる効果はあるものの、
長期的な信頼関係を築く場面ではむしろ逆効果になってしまうのです。

ノリが良いだけの褒め言葉は、なぜ響かないのか

ノリのいい人は場を盛り上げるのが得意で、生き生きとしたエネルギーを持っています。
しかしその強みが、褒め言葉になると途端に弱点へと変わってしまうことがあります。

「すごいっすね!」と熱量だけで褒めたつもりでも、相手からすると本質的な評価ではありません。
どこがすごいのか、何を認めているのか、どの点に感動したのかを言語化していないため、
その言葉は空虚なまま相手の耳を素通りしてしまいます。

ノリが良い、調子が良いという印象が先に立ち、あなたの言葉そのものが軽く扱われてしまう。
その結果、どれほど誠実な意図を持っていても、あなたの評価は「口先だけの人」に近づいてしまうのです。

相手は“言葉の中身”を見ている

ビジネスの世界では、言葉は評価そのものです。
そして相手は、あなたが発した言葉の「中身」を必ずチェックしています。

褒められたとき、人は「自分のどこを見てくれたのか?」を知りたくなります。
しかしノリだけの褒め言葉は、そこが抜け落ちてしまっているのです。

本気で人の心を動かしたいのなら、「すごい」の理由を言語化する必要があります。

たとえば映画を勧めるとき、
「めっちゃ面白いよ!」だけでは観る気は起きません。

しかし「このシーンの伏線回収が本当にすごくて」と語られれば、相手の心は自然に動きます。
営業でも同じです。

「この資料、いいですね!」と軽く言われても信用は生まれず、
「この部分の切り口が他社と違って独自性がありますね」と伝えれば、
相手は自分ごととして言葉を受け取ってくれます。

軽い言葉の積み重ねが、信頼を削っていく

ノリの良い言葉は悪気がないため、つい習慣化してしまいます。
しかし営業職においては、その積み重ねがあなたの信用を少しずつ削り落としていくのです。

軽い言葉を続けていると、相手は「深い話ができない人」と判断します。
信頼を置くべき場面でも、重要な相談でも、“軽いノリで返されるのではないか”と無意識に警戒されてしまいます。

そして、一度その評価がついてしまうと、商談の場でも、職場の人間関係でも、
あなたの言葉の価値は目に見えない形で低下していきます。

言葉の重みとは、日々の積み重ねでしか作れません。
だからこそ、ノリだけの褒め言葉は避けるべきなのです。

信頼される褒め言葉とは、観察と言語化のセットである

では、どんな褒め方が信頼を生むのでしょうか。
それは派手さも勢いもいりません。

必要なのは「観察」と「言語化」です。

相手のどの行動に価値を感じたのか。
その結果どんな変化が生まれたのか。
自分がなぜそれを良いと思ったのか。

この“見どころ”を丁寧に伝えるだけで、あなたの言葉は一瞬で重みを持ち、相手はあなたを信頼するようになります。

ノリの良さはコミュニケーションの潤滑油になりますけど、
褒め言葉の“中身”を軽くすると、あなた自身の価値まで軽くなってしまうのです。

言葉は人格そのもの

営業において、言葉はただのツールではありません。
言葉は人格そのものであり、あなたの印象、あなたの信頼、あなたの価値そのものを形づくります。

ノリのいい言葉は人を楽しませる力を持っています。
であるものの、同時に“軽い人”という評価につながるリスクもあります。

だからこそ、勢いより内容。テンションより観察。派手さより、言葉の丁寧さが大切なのです。

そしてあなたがその意識を持った瞬間から、あなたの言葉は深みを持ち、信頼される営業としてのレベルが一段上がるはずです。