なぜ「後で連絡します」は99%返ってこないのか

こんにちは。
毛利まさるです。

「後で連絡します」に違和感を覚えてきたのではないでしょうか?

営業をしていると、何度も耳にする常套句があります。
それが「後で連絡します」。

あなたも経験があるはずです。商談がそれなりに盛り上がっているように見えても、この一言が出た瞬間に、
心のどこかで「あ、これは終わったな」と感じるあの感覚。

その結果、こちらから連絡しても既読がつかない、日が経っても返答はない。
営業をしていれば避けられない現実ですけど、なぜこうなるのでしょうか。

実はこの言葉には、人が本能的に持つ“避けたいものを先送りにする心理”が詰まっています。

「後で連絡する」は本心ではないことがほとんど

まず理解すべきは、「後で連絡します」は“相手が連絡する意思がない”という事実に限りなく近いということです。

もちろん例外はあります。しかし、その確率は驚くほど低い。

ではなぜ、人ははっきり断らずにこうした言葉を使うのでしょうか。

相手はあなたを傷つけたくない、関係を悪くしたくない、面倒を避けたい。
そのどれか、あるいは全部が理由です。

しかしそのやさしさは、結果的にあなたの時間を奪うだけになる。それがこの断り文句の厄介なところです。

相談してくれる可能性は限りなくゼロに近い

「後で連絡します」と言われた後で、相手が本当に他者に相談し、前向きな結論を導き出すと思いたい気持ちはわかります。

しかし現実は違います。

そもそも多くの人は、重大な判断を“相談してまで”進めようとしません。
相談にはエネルギーが必要であり、相談相手を選ぶストレスも発生します。

おわかりでしょうか?

人は基本的に“変化より現状維持を選ぶ”のです。
そして仮に相談が行われたとしても、そこで背中を押してくれる人が現れる可能性はさらに低いのです。
支援してくれる知識や経験を持つ人が身近にいない。

もしいたとしても、その人が日常的に前向きなアドバイスをするタイプであれば、相手はすでに相談前の段階で行動に移しています。
つまり、「相談してから決めます」は、実際には“相談するつもりがない”ことが多いのです。

人は責任を避けるようにできている

もう一つの大きな理由が、周囲の人も余計な責任を負いたくないという心理です。

相談を受けた側は、自分の助言によって相手の人生に責任を持つことを本能的に避けます。
だから、助言はどうしても消極的になります。

「やめておいた方がいいんじゃない?」
「今はタイミングじゃないかもね」
「もう少し考えてみたら?」

こうした言葉は、表面的にはやさしさに見えるものの、実際には相手を守るための“無難な言い方”でしかありません。
周囲の人が背中を押してくれないのは、彼らに悪意があるからではなく、ただただ、“自分の責任になりたくないから”なのです。

そのため、「後で連絡します」という言葉が出た瞬間に、
相手の頭の中では 「誰かに肯定してもらう」→「肯定されない」→「やっぱりやめておこう」
という未来がほぼ確定しています。

営業側が理解すべき「言葉の裏側」

重要なのは、「後で連絡します」は断り文句であるものの、その裏側には“悪意ではなく、人の自然な心理”があるということです。

つまり相手はあなたを拒絶しているのではなく、
・決断したくない
・責任を負いたくない
・失敗したくない
という非常に人間らしい感情から距離をとっているだけなのです。

この構造を理解せずに営業を続けると、
「なぜ返事がこないのか」
「なぜ決断してもらえないのか」
という悩みを延々と抱えることになります。

しかし、相手の言葉ではなく“心理”を理解できれば、商談の組み立て方は大きく変わります。
相手に判断を丸投げするのではなく、その場で「未来が見える状態」を作るのです。

そうすれば、「後で連絡します」は自然と消えていきます。