営業の雑談にはゴールがある

こんにちは。
毛利まさるです。

営業において「商談前には雑談をしましょう」と言われることは多く、
職場でも同じように「まずは雑談で距離を縮めましょう」というアドバイスが当たり前のように語られてきました。

あなたも、雑談は良いことだと言われ続けてきた側ではないでしょうか?

しかし、一つだけ忘れられがちな前提があります。
それは 雑談には“明確なゴール”が存在する ということです。

「なんとなく盛り上がるため」「場を和ませるため」という表面的な目的ではありません。
雑談の本当の役割は、ただ話すことではなく、ラポール(心理的な橋や信頼のつながり)を見つけるためにあるのです。

雑談は“ラポール探しの時間”である

多くの人は、雑談を「コミュニケーションの潤滑油」と表現します。
それは半分正解であるものの、もう半分は説明として不十分です。

なぜなら、雑談の価値は“話すことそのもの”にあるのではなく、
相手との接点・価値観・興味・経験など、心がつながるキーワードを探し当てる行為にあるからです。

たとえば
「ご出身はどちらですか?」
「最近どんな仕事が多いですか?」
「趣味はありますか?」

といった会話の中には、単なる情報交換ではなく、相手の“ストーリー”や“価値の源泉”を探る仕掛けが隠れています。
相手の言葉の中から、自分と共通する部分や、相手の大切にしているものが見つかる瞬間。

その小さな接点こそが、信頼につながる“ラポールの種”なのです。

なぜラポールが必要なのか?

ではなぜ、営業は雑談を通してラポールを見つける必要があるのでしょうか。

それは ビジネスは情報のやり取りであると同時に、感情のやり取りでもある からです。

どれだけロジカルな資料を準備しても、どれだけ商材に自信があっても、
“この人は信用できる”という心理的な土台がなければ、相手は本音を話しません。
本音を話さない相手は、課題も語らないし、条件も明らかにしない。

その結果、商談はなかなか深まらず、単なるスペック説明で終わってしまいます。
つまり ラポールの有無が商談の深さと成功確率を左右する のです。

相手が「この人は自分のことを理解してくれた」と感じた瞬間から、
会話は情報の交換から“信頼の交換”へと変わります。

ラポールが見つかると商談は一気に変わる

ラポールが見つかると、商談の質は劇的に変わります。

相手が自然と心を開き、こちらの質問に深く答えてくれるようになります。

「実は困っていることがあって…」
「他社ではこう言われたけれど本当は…」

といった、本来は表面に出てこない情報が溢れ始めるのです。

この状態になると、営業は“売り込む側”ではなく“相談される側”に変わります。

商談の主導権を握るのは営業ではなく、ラポールによって得られた信頼です。
そして相手は、あなたからの提案に耳を傾けるようになります。

ラポールは、こちらが無理に作るものではなく、相手との共通点や価値観の一致から自然と生まれるものです。

だからこそ、雑談はただ話す時間ではなく、共通点・価値観・背景を丁寧に拾い上げる立派な営業技術なのです。

雑談の本質は「探すこと」であり「埋めること」ではない

よく“距離を縮めるための雑談”と言われますけど、距離は縮めようとすると逆に広がります。

本質は、相手との間にある“見えない空白”の中に、どんな言葉や経験が橋を架けられるのかを 探しにいく姿勢 にあります。
営業は、相手と自分を強引に近づける必要はありません。

しかし相手の言葉の中から“橋の材料”を見つける必要があります。
その材料こそがラポールであり、雑談のゴールなのです。

ラポールは重要で戦略的な対話

雑談は、単なるアイスブレイクではありません。

相手とあなたの心をつなぐ“ラポール”を見つけるための、重要で戦略的な対話です。

談の目的が明確になれば、営業は一気に深くなり、相手の本音が引き出され、商談の成功確率は大きく変わります。

雑談に迷いがあれば、思い出してください。

雑談のゴールは、話すことではなく ラポールを探すこと なのです。