感情と理論のバランスで成果を変える

こんにちは。
毛利まさるです。

誰が言うかで変わる説得力

人との会話の中で、「何を言ったか」よりも「誰が言ったか」が重要になる場面は意外と多いものです。

たとえば、あなたが大嫌いな人が「相手を思いやる心が必要です」と言ったとします。
理論的には正しいし、誰も否定できない内容であるものの、
その瞬間あなたの頭に浮かぶのは「どの口が言ってんだよ!」という反発ではないでしょうか。

結局、内容の正しさとは無関係に、感情がそのメッセージの受け取り方を大きく左右してしまうのです。

この現象は、特に社内営業において顕著に表れます。

会議で提案をする際、同じ内容でも「この人が言うなら」と受け入れられる場合もあれば、
「あの人の発言だから」と聞く耳を持たれないこともあります。

人間関係における感情の影響力は、理屈を凌駕することが多いのです。

感情が論理を打ち消す瞬間

「感情」と「理論」は本来、両立させるべきものです。
しかし現実には、理論をいくら積み上げても、感情の壁に阻まれてしまう場面が数えきれないほど存在します。
論理的に正しくても、嫌悪感や不信感を抱いている相手の言葉は心に響かない。

それはビジネスの場だけではなく、友人関係や家族関係でも同じです。

たとえば、過去に何度も衝突した上司が「チームワークを大切にしよう」と呼びかけても、
「普段の態度を見れば矛盾している」と反発を感じる人は多いでしょう。

逆に信頼している人が同じ言葉を発すれば、すんなりと心に落ちていく。

理屈は同じなのに、感情が判断を変えてしまうのです。

社内営業における「感情のハードル」

社内営業を成功させるには、論理武装だけでは足りません。
なぜなら、社内には必ず「感情のハードル」が存在するからです。
どんなに完璧な資料を準備しても、過去の態度や人間関係によって「聞く気になれない」と思われれば、その提案は実らないのです。

ここで大切なのは、「自分の言葉が感情的にどう受け止められるか」を想像することです。

たとえば、自分に対して懐疑的な人が多いと感じるのであれば、いきなり理屈で押すのではなく、
まずは「共感」や「小さな成功体験の共有」から始めてみましょう。

つまり理論に入る前に、感情の地ならしをすることが必要なのです。

感情を味方にする方法

では、どうすれば感情を味方につけられるのでしょうか。ポイントは3つあります。

1つ目は「相手を認めること」です。人は誰しも、自分を評価されたい、
認められたいという欲求を持っています。

会議の場で相手の意見を取り上げ、「先ほどのご指摘は確かに大切です」と返すだけで、相手はあなたの話に耳を傾けやすくなります。

2つ目は「自分の感情を素直に表現すること」です。

たとえば「正直に言うと、この件では不安もあります。
でもこうすれば前に進めると考えました」と言えば、単なる理論よりも人間味が伝わり、共感を得やすくなります。

3つ目は「信頼を積み重ねること」です。
日頃から誠実に対応し、約束を守り続けることが、最終的には「この人が言うなら信じられる」という感情を生むのです。

「相手を思いやる心が大切」という言葉は、誰が言っても理屈としては正しい。
であるものの、その言葉を受け取る側の感情によっては、まったく響かないことがあります。

だからこそ、社内営業においては、理論を磨くだけでなく、感情を理解し、味方につけることが重要なのです。
信頼関係を築き、相手の自己重要感を満たしながら話を進める。
それができたとき、感情と理論は矛盾せず、強力な説得力を生み出すのです。