昭和のメンタルから学ぶこと

こんにちは。
毛利まさるです。

「そんなの、自分で考えろって言われた経験はありませんか?」

今の時代、そんな言葉はパワハラと捉えられることもあります。
新人が上司に質問をしたとき、
「ググれば出てくるだろ」「調べてから来い」
と返されるだけでも、心にダメージを負う人が少なくありません。

なぜなら今、世の中は「即答」「正解」「失敗しない」が
当然の空気に包まれているからです。

たしかに、今は生成AIやインターネット検索を使えば、
ちょっとした疑問にも即座に答えが返ってきます。

営業手法やマーケティング戦略も、
成功事例が山のように共有されており、
それをコピーすれば「ある程度うまくいく」のです。

これは便利であり、効率的でもあります。
であるものの、それと引き換えに私たちは「考え抜く力」や
「失敗を許容するセールスメンタル」を失いつつあるのではないでしょうか。

では、昭和の時代。当時のビジネスパーソンたちは
どうやって日々の疑問や課題を乗り越えていたのでしょうか。

答えはシンプルです。

調べられなかったのです。
ネット検索もなければ、生成AIも存在しません。
情報を得るには、社内資料を一から読み直す、
先輩に頭を下げて質問する、
あるいは図書館に足を運んで文献を漁るしかありませんでした。

時間も手間もかかる。もちろん非効率です。

しかし、そのプロセスの中で
「仮説を立てては失敗し、また考え直す」
という試行錯誤が日常的に行われていました。

つまり、失敗が前提だったのです。
誰もがミスを重ねながら学んでいくことに違和感を持たなかった時代。
そうした背景が、
彼らの中に「折れない心」「耐える力」「考え抜く力」を育んだのです。

今、セールスの現場では
「スクリプト通りに話せばいい」
「テンプレートを使えば成果が出る」
という風潮が強まっています。

しかし、それに慣れすぎると、
予定外の事態や型通りでは通じない相手に遭遇したとき、
思考停止に陥ってしまいます。

現場で本当に求められるのは
「自分の頭で考え、相手に合わせて柔軟に対応できるセールスメンタル」です。

昭和の働き方は、今の基準では非効率で理不尽にさえ見えるかもしれません。

しかし、だからこそ育まれた
「耐える力」や「考え抜く姿勢」こそ、
今の時代に必要な武器なのではないでしょうか。

すぐに答えが出ないからこそ、
自分で探し、試し、失敗を重ねながら前に進む。

こうした精神性は、決して過去の遺物ではなく、
むしろこれからの時代を生き抜くための貴重なヒントなのです。

もちろん、昭和を単純に美化するつもりはありません。

理不尽な上下関係や、非科学的な精神論に苦しんだ人も多かったことでしょう。
しかし一方で、「すぐに成果を求めないこと」
「失敗を恐れないこと」「考え抜くこと」
この3つは、今だからこそ再評価されるべき価値観なのではないでしょうか。

「今、昭和の時代だったら、あなたはどうしていただろう?」

もしすぐに答えが出なかったとしても、
もがきながらでも前に進める。

そのマインドこそが、これからの時代を生きるための
「新しいセールスメンタル」なのかもしれません。