
こんにちは。
毛利まさるです。
営業の現場にいると、まるでアナウンサーのように説明の流れが整っていて、話し方もスムーズな人がいます。
「こちらは〇〇です。だから〇〇です。そして次はこちらです」
そんなふうに、資料を流れるように紹介できる人です。
しかし不思議なことに、説明が上手な人が必ずしも売上トップではありません。
あなたもその現象に気づいていたのではないでしょうか?
なぜ説明力が高いのに、成果には直結しないのでしょうか。
その理由を一言でいえば、説明が上手いことと、人を納得させることはまったく別のスキルだからです。
説明が上手いだけでは、人は動かない
説明が上手い人というのは、多くの場合、資料の紹介が洗練されている人です。
情報を整理し、順序立てて伝えることには長けています。
しかし、その後の判断はすべて相手に委ねられています。
つまり、相手が元々興味を持っていて、聞く準備が整っている場合は、流れの良い説明がそのまま成果につながります。
一方で、聞く体制がまったく整っていない相手に対しては、どれほど説明がスムーズでも心に入っていきません。
ここに、成果が出る人と出ない人の差が生まれます。
相手が「聴く体制」にないと、説明は届かない
人間は、自分に関係があると思えない話には注意を向けません。
「今の私には関係ない」と判断されれば、どれほどロジカルで美しいプレゼンでも頭に入ってこないのです。
ですので、営業の最初の課題は「説明すること」ではなく、相手を話の世界に連れてくることなのです。
しかし多くの営業は、資料を見せることをゴールにしてしまいます。
相手がまだ参加していないのに、説明だけが先に進む。
その結果、伝達だけはされるものの、相手の心はまったく動かないのです。
聴き手を巻き込む技術は「漫談」に学べる
話を引きつけるとは、聞き手がその話に“参加する”ということです。
営業で必要なこの「参加の構造」は、実は漫談に近いのです。
漫談は一人語りであるものの、複数の登場人物が存在します。
たとえば、語り手が登場人物に話しかけたり、観客の気持ちを代弁するキャラが出てきたりすることで、
聴き手はただ聞いているだけではなく、心の中で“会話に参加”している感覚になるのです。
営業も同じ構造をつくる必要があります。
“資料を紹介するだけの人”ではなく、“聞き手を巻き込みながら話を進める人”にならなければ、納得は生まれません。
聴き手を代弁するメッセージこそ、納得を生む
では、どうすれば相手を話に参加させられるのでしょうか。
それは、聴き手の気持ちを代弁する言葉を先に出すことです。
「おそらくここが気になっているのではないでしょうか」
「もし私が相手の立場なら、最初にここを知りたいと思います」
このように、“あなたの心の声を私は理解している”というメッセージを見せると、聴き手は自然と話に引き込まれます。
逆に言うと、相手の心の声を無視した説明は、どれほど上手くても届かないのです。
話に参加できるようになると、人は納得に向かって理解を深めます。
そしてその納得こそが、行動につながるのです。
営業に必要なのは、説明力ではなく参加型の「納得設計」
説明を流れるように話すことは重要であるものの、それだけでは不十分です。
営業に必要なのは、相手を巻き込み、心を動かす“納得の設計”です。
資料の紹介ではなく、聞き手を動かすためのストーリー。
説明の流れではなく、参加したくなる対話の構造。
それこそが、売れる営業とただの説明上手を分ける決定的な差なのです。





