
こんにちは。
毛利まさるです。
感じ方の“差”は、知っている量で決まる──セールストークをプロの目で磨くということ
「自分では良い提案をしたつもりなのに、全然響いていなかった」
「なんであの人の話はあんなにお客さんの心に刺さるのだろう」
こういった経験は、営業や接客をしている人なら誰しも一度は感じたことがあると思います。
一見、同じ内容を話しているように思えるのに、なぜここまで反応が違うのでしょうか?
その違いのひとつは、情報量の差にあります。
プロと素人の“見え方の違い”とは?
たとえば、テレビで放映されているプロ野球の試合。
野球経験がない人が見ると、「速い球だな」「点が入ったな」といった表面的な反応になるかもしれません。
しかし、学生時代に野球部だった人や、草野球を続けている人が見ると、見える景色がまったく違ってきます。
「今の球、ギリギリ外角低めに決まったな」
「この打者、あの球をあのコースで打ち返すのはすごすぎる」
同じ試合を見ていても、理解できる背景情報や技術の細部に違いがあるから、感じる感動の深さも変わるのです。
これは、映画や漫画、音楽、そして日常の中にも起きている現象です。
セールストークにも“文脈の力”がある
この考え方は、セールストークにもそのまま当てはまります。
たとえば、あなたがドラッグストアにいき、薬剤師の先生から
「この薬は副作用が少ないんです」とだけ言われたときに、
その薬を使ったことがなければ「へえ、そうなんだ」と表面的な理解になるでしょう。
しかし、あなたが「以前、似た薬で副作用がひどくて困った経験がある」場合、その言葉の持つ意味はまったく違ってきます。
「副作用が少ない」=「あの辛かった時間を繰り返さなくて済むかもしれない」
ここに深い共感と感動が生まれるのです。
感動は“想像できるかどうか”で決まる
つまり、話し手ができるだけ相手の想像を助けてあげることで、感動の深さは増していきます。
これはまさに、プロと素人の違いです。
プロは、相手の立場や経験を想定して、必要な情報を補っていきます。
たとえばこんな具合です。
「この製品は数値的にはわずか10%の差ですが、実際に使っているお客さんからは“疲れにくさがまったく違う”という声をよくいただきます」
この一文が入るだけで、相手の中で「自分が使ったらどう感じるか?」というイメージが膨らむのです。
「刺さる話」は、経験とつながったときに生まれる
人は、自分の経験と重なるものに、深く心を動かされます。
たとえば映画『君の名は。』のセリフ
大事な人、忘れたくない人、忘れちゃだめな人。誰だ、誰だ、誰だ、誰だ?
映画『君の名は。』
このセリフが刺さる人は、自分の過去に「忘れたくない誰か」とのエピソードがあるからこそ、涙を流すのです。
ストーリーそのものではなく、それを自分の記憶や感情に重ねられるかどうか。
ここが、感動の深さを決めるカギです。
同じように、セールストークも、お客さんの過去の経験や悩みに触れたとき、ようやく本当に“伝わる”ものになります。
トークの背景を、どれだけ描けるか?
だからこそ、セールストークを磨くときは、単に言葉を暗記するのではなく、
「なぜこの言葉が有効なのか?」「この表現が響くのはどんな状況か?」を自分の中で深掘りすることが重要です。
たとえば、「この製品はコスパがいいです」とだけ言うのではなく、
「今、同じ価格帯の製品が1年で買い替えになる中で、この製品は3年も使えるという声があります」
こうした背景情報の提示が、想像を助け、感動を生みます。
経験がない人にも、届くトークを
もちろん、相手に十分な知識や経験がない場合もあります。
そんなときこそ、プロの力が試される場面です。
つまり、「相手の目の高さまで言葉を下ろしていく」ということです。
自分の知識や経験を押しつけるのではなく、相手が理解しやすい形で伝える工夫をする。
これが、プロのトークと素人のトークの大きな分かれ道になります。





