説明責任に一生懸命な人

こんにちは。
毛利まさるです。

「説明はしてるんだけど、全然わからない」
と言われた経験はありませんか?

そのとき、あなたはきっとこう思ったはずです。
「いや、ちゃんと説明したよ」と。
自分なりに丁寧に話したつもりなのに、
相手に伝わっていなかった。

これはセールスに限らず、医療や教育、
あらゆる対人コミュニケーションの現場で起こる、
誰にでも心当たりのある問題です。

たとえば、病院や薬局での経験を思い出してください。

医師や薬剤師から、症状や処方薬について説明されたものの、
「結局どういうこと?」と感じたことはないでしょうか?

もちろん、ほとんどの医療従事者の方々は丁寧に、
親身になって説明してくださいます。

しかし、ごく一部の方は、説明の内容や量にばかり集中してしまい、
「本当に相手が理解できたか」という視点を欠いてしまうのです。

なぜそうなるのでしょうか。

その理由のひとつに、
「説明責任を果たさなければならない」
という立場があります。

医療の世界では、患者への説明は義務です。
であるものの、その義務感が強すぎるあまり、
「説明する」ことが目的化し、
「伝える」「理解させる」という
本来のゴールを見失ってしまうことがあるのです。

この構図、実はセールスの現場でも
まったく同じことが起きてはいないでしょうか?

私たちは商談の場で、
自社の商品やサービスの特徴、メリット、
導入事例などを事前にしっかり準備します。

専門用語や業界知識も盛り込みながら、
丁寧に情報を提供する。

ここまでのプロセスは決して間違いではありません。
むしろ、誠実で優秀な営業パーソンの証とも言えるでしょう。

しかし、ふと立ち止まって考えてみてください。

あなたのセールストークは、
「相手に伝わること」よりも
「自分が説明できること」に偏ってはいないでしょうか?

たとえば、相手の表情に変化はあったか?
途中でうなずく回数が減ってはいなかったか?
本当に、理解できたかどうかの確認を最後にしているか?

こうした視点が抜け落ちると、
どれだけ素晴らしいセールストークでも、
「伝わらないプレゼン」になってしまうのです。

説明することに一生懸命になるあまり、
相手に届いているかという視点を持てなくなる

それは、まさに医療現場と同じです。
相手がどんな知識レベルか、
どこでつまずいているのかに意識を向けなければ、
どれだけ丁寧な言葉もただの独りよがりになってしまいます。

だからこそ、もう一度、自分のトークを振り返ってみてください。
説明に必死になっていないか。
伝わったかどうかを確認する余白を持っているか。
質問を投げかけ、相手の言葉を待つ時間を取っているか。
それらすべてが、「伝える力」を支える大切な要素なのです。

説明に一生懸命になれることは、素晴らしいことです。

であるものの、その努力が報われるのは、
相手に伝わって初めてです。

「話したか」ではなく「伝わったか」を基準にできるかどうか。
そこに、セールスとしての真価が問われるのです。