養殖のたい焼きと天然のたい焼き

こんにちは。
毛利まさるです。

「それ、本当にお客様のためになっていますか?」

そう問いかけられて、胸がチクリとした経験はありませんか?
売上目標やKPIを追うあまり、
「売る」ことばかりが目的になってしまい、
気づけば“お客様が望んでいること”から遠ざかっていた
そんなこと、ありませんか?

そんなときにこそ、ぜひ思い出してほしい話があります。
それが「養殖のたい焼き」と「天然のたい焼き」の違いです。

あなたは、この二種類のたい焼きをご存知でしょうか?

刺身でもないのに「養殖」や「天然」
という言葉が出てきたことに、最初はきっと驚くと思います。
そもそも、たい焼きにそんな区別があるの?
と思われるかもしれません。

もちろん、これは“比喩”です。

たい焼き業界で言われる「養殖」とは、
一度に5匹や6匹をまとめて焼ける金型で
作られたたい焼きを指します。
街のお祭りや屋台などでよく見かけるタイプですね。
手早くたくさん作れるので効率的で、価格も比較的手頃です。

一方で「天然」と呼ばれるたい焼きは、
「一丁焼き」とも呼ばれ、
一匹ずつ別々の金型で丁寧に焼かれます。

それぞれの型に個性があり、
火加減を見ながら絶妙なタイミングで焼き上げることで、
皮がパリパリ、中はしっとり
まるで和菓子のような繊細さを感じる仕上がりになります。
手間も時間もかかる分、作り手のこだわりが反映されやすいのです。

では、「天然もののたい焼きの方が美味しいのか?」
と問われると、答えは「好みによる」としか言えません。

私は薄皮で香ばしい食感が好きなので天然たい焼きが好きです。
しかし、ふわふわのカステラのような厚い皮が好きな人にとっては、
養殖のたい焼きの方がむしろ魅力的に映るでしょう。

ここに、セールスの本質があります。

つまり、どちらが「優れている」かではなく、
「誰にとって、どのような価値を持つのか」が重要なのです。

養殖には養殖の良さがあり、天然には天然の良さがある。
それぞれの特性を理解し、
相手に合った価値を提案できるかどうかが、
セールスの力なのです。

優れたセールスパーソンとは、
自分の価値観を押しつける人ではありません。

相手の好みや状況、予算や利用シーンを的確に捉え、
それに最適な商品やサービスを紹介できる人です。

たとえば、「たい焼きにそんな違いがあるんだ」と驚いたとき、
その話を誰かに伝えようとするだけでも、
自分とは異なる感覚や好みを理解しようとする第一歩になるのです。

この「たい焼きネタ」は非常に使い勝手の良い
セールストレーニング題材になります。

「このたい焼きの違い、あなたはどちらが好きですか?」

こんな問いかけを、ぜひあなたの周りの方々としてみてください。
意外と盛り上がりますし、会話の中に「価値観の違い」を
体感できるヒントがたくさん転がっています。