自分のためと目の前の人のため

こんにちは。
毛利まさるです。

商談中に「これを言うと嫌われるかもしれない」と思い、
伝えたいことを飲み込んでしまった経験はありませんか?

おそらく多くの人が心当たりがあるでしょう。
相手に気遣い、関係性を大切にする姿勢は、
ビジネスにおいて非常に重要です。

しかし、ここで一つ考えてほしいのは
「その気遣いは本当に相手のためになっているのか?」
ということです。

もしかすると、その気遣いの裏には
「自分が嫌われたくない」「自分が怒られたくない」
という気持ちが潜んでいるかもしれません。

このように、自分が傷つきたくないという感情が
「相手のため」を上回ってしまうと、
本来伝えるべきことが伝えられないまま終わってしまうことがあります。

それでは、結果的に「相手のため」にならないどころか、
むしろ相手の不利益に繋がるかもしれません。

たとえば、あなたが家電量販店の販売員だったとします。
お客様が
「新しい冷蔵庫を探しているんですけど、
 大きいのは高いから小さいのでいいかな」
と言ってきました。

このとき、
「小さい方が安くて売りやすいし、
 余計なことを言って嫌な顔をされたくない」と思い、
小さい冷蔵庫だけを勧めるのは簡単です。

けれど、もしそのお客様がご家族と暮らしていて、
さらに「食材をまとめ買いすることが多い」
と話していたらどうでしょうか。

本当にお客様の生活を考えるなら、
「確かに小さい方が価格は抑えられますけど、
 ご家族でまとめ買いするなら、
 容量に余裕のあるモデルの方が結果的に便利ですよ。

 無理に大きいサイズを勧めるつもりはありませんけど、
 収納のしやすさや電気代のバランスを考えると、
 こちらの方が長く快適に使えそうです」
と提案したほうが相手にとって良いかもしれません。

そのとき、「売り込まれた」と感じるか、
「親身にアドバイスしてくれた」と感じるかは、
あなたの伝え方次第です。

営業で大切なのは、「自分が嫌われないように」
という気持ちを優先して本音を飲み込むのではなく、
「この提案が本当にお客様のためになる」
という信念を持って伝えることです。

「多少は嫌われても、本当に相手のためになるなら伝える」
という姿勢こそが、結果的に信頼につながり、
長期的な関係を築く鍵になるのです。

確かに、リスクを伝えたことで
「しつこい営業だ」と思われる可能性はゼロではありません。

けれど、そのリスクを伝えなかった結果、
万が一の事態が起きたらどうでしょうか?

そのとき「本当は伝えるべきだったのに」と後悔するのは、
他でもないあなた自身です。

大切なのは、
「多少は嫌われても、本当に相手のためを思えば、
 伝えるべきことは伝える」

という覚悟です。

「これは言ったほうがいいのか」
「言わないほうが無難か」と迷ったときは、
「自分のため」か「相手のため」かを自問してみてください。

もし「自分が嫌われたくない」という気持ちが少しでもあるなら、
それは「伝えるべきサイン」かもしれません。

本当に相手のことを思えば、
時には嫌われるリスクを取ることも必要です。
その覚悟が、真に相手の役に立つセールスの第一歩となるのです。