
こんにちは。
毛利まさるです。
お客さんは「知らないもの」を正しく比較できない
セールスの現場では、商品やサービスの価値をどう伝えるかが勝負になります。
しかし、その前提として理解しておかなければならないことがあります。
それは、人は知らないものを正確に比較できないという事実です。
たとえば、一流のバスケットボール選手の凄さは、スポーツに興味がない人にとってはまったく実感が湧きません。
有名だから凄いのかな、という曖昧な理解に留まることが多いでしょう。
もし目の前で世界トップレベルの選手と、そこそこ上手い選手が同じようにシュートやドリブルをして見せたとしても、どちらがどれほど凄いのかを判断するのは難しいはずです。
しかし、ここに“判断基準”が加わると話は一変します。
ルールの仕組みを知り、どんな動きが高度で、どこが一般選手との違いなのかを理解した瞬間に、
「あ、確かにこの人はレベルが違う」と納得できるようになります。
つまり、判断基準を知った瞬間に、人は初めて正しい判断ができるようになるのです。
判断基準がなければ価値は伝わらない
この構造は、そのままセールスにも当てはまります。
営業側がどれだけ「うちの商品は優れています」と言ったところで、お客さんがその価値を判断する軸を持っていなければ、どれほどの凄さなのかは伝わりません。
あなたも経験があるのではないでしょうか?
「この機能がいいんです」「ここが他社と違います」という説明をしてもお客さんがピンとこない場面。
その理由は単純で、お客さんが比較する基準を持っていないからです。
映画を観る前に「ここが見どころです」と言われれば、観ながらそのポイントを探しにいきます。
それと同じで、判断基準が示されていると、人は価値をキャッチしやすくなります。
逆に言うと、判断基準のない説明は、どれだけ魅力的に語っても相手に届きにくいのです。
営業がすべきことは「価値そのもの」ではなく「価値の見方」を渡すこと
営業が本当に伝えるべきなのは、商品の良さそのものではありません。
その前に、「良さが見えるようになるための視点」を渡すことです。
なぜその機能が重要なのか、どんな状況で力を発揮するのか、他社製品ではどこが限界なのか。
こうした情報が判断の軸になります。
お客さんは、判断基準が整った瞬間に初めて、
「なるほど、だからこの商品は価値があるのか」と理解できるようになります。
セールスとは、ただ商品を並べる行為ではありません。
お客さんが比較し、理解し、納得し、選べるようになるための“価値の地図を渡す行為”です。
判断基準があれば、判断ができます。
判断ができれば、納得が生まれます。
納得が生まれれば、購買は自然に進みます。
最後に
営業の強さとは、商品力だけでは決まりません。
むしろ、“お客さんの中に判断基準を育てる技術”こそが、最も大きな武器になります。
「商品説明」ではなく「価値の見方」を伝える。
これができた瞬間、商談は驚くほどスムーズに動き出すのです。





