
こんにちは。
毛利まさるです。
人生を学ぶ——博物館で見つけるセールスの本質
博物館に行くと、彫刻や絵画、工芸品など、さまざまな作品に出会うことができます。
そこには、時代を超えて人々の心に残る「何か」がありますよね。
作品の背後には、作り手の思考や葛藤、そして祈りにも似た想いが込められています。
たとえば、仏師・運慶。彼の作品を前にすると、単なる「仏像」という枠を超えて、人間としての魂のあり方まで考えさせられます。
彼は木という命ある素材に、祈りや信仰、そして人間の苦悩を刻みました。
もし彼が現代に生きていたなら、きっとその姿勢は「顧客に心を届ける」という仕事にも通じていたはずです。
作品づくりとセールスの共通点
作品をつくる人は、最初から「これで完璧だ」と思って彫ることはありません。
何度も削り、磨き、形を変えながら、ようやく一つの完成形にたどり着きます。
セールスも同じです。
あなたが話すセールストークも、最初から理想の形で相手に届くわけではありません。
お客さんの反応を観察し、言葉を磨き、流れを変えながら、少しずつ完成に近づけていく。
そこには「削り出すような」粘りと覚悟が必要です。
つまり、運慶の一刀には、セールスで言う「言葉を選ぶ努力」が宿っているのです。
どんなに素晴らしい商品でも、それを伝える言葉がなければ、人の心には届きません。
「想像力」は最大の営業力になる
仏師が木の中に仏を見出すように、営業の本質も「相手の中にまだ見えない価値を見出すこと」です。
たとえばお客さんがまだ気づいていない悩みや不安を、あなたが一歩先に想像できたらどうでしょうか?
その瞬間、トークは単なる説明ではなく、「共感の表現」になります。
博物館で作品を見ていると、作り手の想像力に圧倒されることがあります。
人の感情、時代の空気、光と影の表現。どれも「見えないものを見ようとする姿勢」から生まれています。
この想像力を自分の仕事に取り込めたら、あなたのセールストークは確実に変わります。
「残す」という視点を持つ
偉人たちの作品が今も展示されているのは、「人のために何かを残したい」という想いがあったからです。
営業の仕事も、実は同じです。
目の前の契約を取ることだけが目的ではなく、お客さんの人生に「残る」経験を届けることが本質です。
たとえば、あなたの提案で誰かの生活が少しでも豊かになったとしたら、それは一つの“作品”を世に残したのと同じです。
作品もサービスも、最終的には「人の記憶に残るかどうか」が価値を決めるのです。
「学ぶ場」としての博物館
博物館は単なる展示の場ではありません。
そこは、「人がどう生きたか」を学ぶ場所です。
展示されている作品の一つひとつに、人生の縮図があります。努力、苦悩、挑戦、そして完成。
そのプロセスを感じ取ることで、「自分は何を残せるのか?」という問いが生まれます。
仕事においても同じです。
セールスという行為を、「その場の取引」ではなく「人生を表現する場」として捉えたとき、人は強くなれます。
あなたの話し方、姿勢、態度。そのすべてが、あなたという“作品”の一部なのです。
「人生を学ぶ」ということ
結局のところ、「人生を学ぶ」とは、他人の人生に触れることです。
仏師の木彫、画家の筆、作曲家の旋律。
それらすべてが、人生を刻み込んだメッセージです。
博物館を歩きながら、その想いを感じ取ることができたなら、あなたの中の「表現者」としての部分も確実に育っていくはずです。
セールスとは、「人と人との物語をつくる仕事」。
そう考えたとき、あなたの仕事は一気に深みを増します。
目の前の相手に何を届けたいのか。どんな言葉を残したいのか。
それを考える時間こそが、営業の本当の“学び”なのです。





