新しいものは理解されにくい

こんにちは。
毛利まさるです。

あなたは、新しい商品やサービスを提案したときに、
「こんなに便利で素晴らしいのに、なぜ理解されないんだろう?」と
感じたことはありませんか?

新機能や新サービスの場合、
セールスパーソン自身がその価値を確信しているため、
どうしても「相手にもすぐに理解してもらえるはず」
と思い込みがちです。

しかし、実際にお客さんの前でプレゼンテーションを行うと、
その反応が予想以上に冷淡だったり、
「それで、具体的にどんなメリットがあるの?」と
疑問を投げかけられることもあるでしょう。

それは、なぜなのでしょうか?

実は、新しいものというのは
世の中にどれだけの利便性をもたらすものであっても、
多くの人にとって「理解されにくい」特性があるからです。

新しい商品やサービスが生まれると、
その分、日々の生活が便利になったり、楽しくなったりします。

ですが、それを手に取る消費者の立場からすると、
「なぜその新しいものが必要なのか」
を理解するのは容易ではありません。

人間は基本的に変化を嫌う生き物で、
既存のものを置き換えることに
対して無意識の抵抗感を持っています。

そのため、どんなに優れた新機能を持っている商品であっても、
一度聞いただけでその価値を理解してもらうことは難しいのです。

ですので、セールスパーソンは
「新しいものは理解されにくい」という
前提をしっかりと認識しておくことが重要なのです。

この認識があるかないかで
提案のアプローチやお客様への伝え方に
大きな違いが生まれます。

例えば、新しい機能を説明する際に、
「これを使うと今までできなかったことができるようになる」と
一方的に伝えるのではなく、
「今まで不便に感じていた部分を解消し、より快適な体験を得られます」と、
顧客が現状の不満点や課題を解決できる形で話を進めることが大切です。

つまり、新しいものを売り込む際には、
まず「なぜこれが必要なのか」
を理解してもらうところから始めるべきなのです。

たとえば、過去に「3Dテレビ」が
市場に登場したときのことを思い出してください。

3Dという新しい技術は、映画やゲームをよりリアルに
楽しめる可能性を秘めていました。

しかし、実際には3Dテレビはそこまで普及せず、
多くの家庭に浸透することはありませんでした。

それは、なぜでしょうか?

理由は、消費者が「3Dの映像体験」がどれほどの価値を持つかを、
実際に体験しない限り理解できなかったからです。
また、3D映像を見るためには専用のメガネをかける必要があり、
この一手間が「面倒くさい」と感じられてしまったことも
普及の障害となりました。
つまり、新しい機能がどれだけ画期的であっても、
消費者にその価値を伝えられなければ、
「理解されにくいもの」となり、
最終的には「必要ないもの」と認識されてしまうのです。

それを避けるためにも
セールスパーソンは「イノベーター理論」を
理解しておくことが大切です。

イノベーター理論とは、
新しい商品やサービスが市場に浸透していくプロセスを説明した理論です。

新しいものに最初に飛びつく層は「イノベーター」と呼ばれる、
全体の約2.5%程度の冒険心旺盛な人々です。

彼らは他の消費者よりも新しい技術や商品に敏感で、
周囲の評価よりも自分自身の好奇心やニーズを優先します。

次に続くのが「アーリーアダプター」と呼ばれる層で、
全体の約13.5%を占めます。

この層は、イノベーターの評判を見て、
自分の判断で価値を見極める傾向があります。

しかし、多くの消費者は
「アーリーマジョリティ」や「レイトマジョリティ」と呼ばれる、
全体の約68%を占める層に属しており、
彼らは周囲の評価や実績を見てからでないと、
新しいものに手を出そうとはしません。

つまり、新しいものに最初から飛びついてくれるのは、
市場のごく一部のイノベーター層のみなのです。

ですので、セールスパーソンとしては、
「新しいものを売り込むのには時間がかかる」ことを理解した上で、
焦らず、粘り強く価値を伝え続ける姿勢が必要なのです。