確証バイアス~見たいものだけを見てしまう心のクセ~

こんにちは。
毛利まさるです。

あなたは、「これまで通りやっていれば、いつか結果が出るはずだ」と思い込み、行動を変えることを無意識に避けていた、そんな経験はありませんか?
もしかしたらそこには、疑うことを忘れている可能性があります。

見たいものだけを見てしまう心のクセ

この状態の正体が確証バイアスです。

確証バイアスとは、人が知らず知らずのうちに、自分にとって都合の良い情報だけを集め、それ以外を見ないようにしてしまう心のクセを指します。

たとえば「酒は百薬の長」という言葉があります。聞いたことがある人も多いと思います。
しかし、現代の医学的エビデンスでは、お酒が健康に良いという考え方は否定されています。
それどころか、この言葉の語源を辿ると、酒を正当化するために使われた表現にすぎなかったことが分かっています。

であるものの、私たちは「体に良いらしい」という部分だけを強調して記憶し、飲む理由として使ってしまう。
これはまさに、見たいものに見えてくる現象なのです。

なぜ努力しているのに結果が出ないのか

営業の現場でも同じことが起きています。

「自分なりに頑張っている」「昔このやり方でうまくいった」という記憶だけを根拠に、今のやり方を正解だと信じ続けてしまう。
その結果、環境や市場が変わっているにもかかわらず、行動は変わらない。

その結果、成果が出ず、「自分には才能がないのかもしれない」と感じてしまったと思います。
しかし、それは能力の問題ではありません。

それは、確証バイアスによって思考の選択肢が狭くなっているからです。

確証バイアスが強いと何が起きるのか

確証バイアスが強くなると、「うまくいかなかった理由」を外に求めやすくなります。

市場が悪い、上司が悪い、会社の仕組みが悪い。確かにそれらの要因はゼロではありません。
しかし、それだけを集め続けてしまうと、自分の行動を見直す視点が消えてしまいます。

おわかりでしょうか?

問題は現実そのものではなく、現実の切り取り方にあるのです。

バイアスに気づいた人から景色が変わる

では、どうすればいいのでしょうか。

答えはシンプルで、「自分の考えが正しい前提」を一度疑うことです。

たとえば、成績が上がっている人の行動を見たときに、「自分とはタイプが違うから参考にならない」と切り捨てていないでしょうか。
これは、学ばなくていい理由を集めている状態です。
行動してもすぐに結果が出ないため、「やっぱり無理だった」と判断してしまうのも、確証バイアスの一種です。

ですので、「自分が信じている前提は、本当に事実なのか?」と問い直す習慣が必要なのです。

小さな違和感を無視しない

成長している人は、特別な才能があるわけではありません。

むしろ、「今のやり方、少しズレているかもしれない」という違和感を無視しない人です。
違和感があっても動けないのは、人は安心できる考えにしがみついてしまうためです。

しかし、違和感を感じながらも一歩踏み出す人は、少しずつ視野が広がります。視点が変われば、見える情報も変わります。
逆に言うと、視点を変えない限り、どれだけ行動量を増やしても同じ結果になりえないのです。

今日からできる一つの行動

まずは、「自分が正しいと思っていること」を一つだけ紙に書き出してみてください。そして、その反対の意見をあえて探してみる。
否定するためではなく、理解するためにです。

そうやって思考の幅を広げていくと、今まで見えなかった選択肢が見えてきます。
結果が出ない時期があっても、それは遠回りではありません。考え方を整える時間は、確実に次の一歩につながります。

確証バイアスに気づくことは、自分を責めることではありません。
むしろ、自分を前に進ませるための、大切なスタートラインなのです。