仕事における短距離走と長距離走

こんにちは。
毛利まさるです。

仕事には二種類の走り方がある

仕事で求められる行動には、大きく分けて二つがあります。

一つは、指示されたこと、やらなければいけないことに対して、すぐに動ける速さです。
これはまさに短距離走のような力です。
メールの返信、急ぎの資料作成、トラブル対応。こうした場面では、スピードが信頼に直結します。

もう一つは、すぐには成果が出ないものの、継続して取り組む姿勢です。
これは長距離走に近い力です。顧客との関係づくり、提案力の向上、専門知識の蓄積。
今日やっても明日結果が出るわけではない。
しかし、続けた人だけが後から効いてくる仕事です。

多くの人は、どちらかに偏りがちです。

短距離走が得意な人は、すぐに終わる仕事に集中し、長期で取り組むべきことを後回しにしがちです。
しかし一方で、長距離走が得意な人は、腰を据えて考える力があるものの、今すぐ対応すべき案件への初動が遅れがちになります。

なぜ成果が安定しないのか

ここで一度、自分自身に問いかけてみてください。
あなたは、短距離走ばかりを繰り返していなかったのではないでしょうか?

目の前のタスクを片付けることで忙しさは埋まる。
しかし、数か月後、半年後の自分を強くする行動には、なかなか時間を使えていない。
その結果、いつまでも同じ場所を走り続けている感覚になっていたと思います。

逆もまた同じです。
じっくり考えることを大切にしているものの、今やるべき一歩が遅れ、チャンスを逃してしまう。

それは、どちらが正しい・間違っているという話ではありません。役割が違うだけです。

両方を持とうとしなくていい

ここで誤解しないでほしいのは、「短距離走も長距離走も完璧にやろう」とする必要はない、ということです。
両方を常に高いレベルでこなせる人は、正直ほとんどいません。

ですので大切なのは、自分が今どちらに偏っているのかを自覚することなのです。
短距離走ばかりなら、週に一度でいいので長距離走の時間を確保する。

長距離走タイプであるものの動きが遅いなら、「今日はこれだけは終わらせる」という短距離走の区切りをつくる。
大切なことは、才能の問題ではなく、設計の問題です。

走り続けるための視点

成果が出ないとき、人は「もっと頑張らなければ」と考えがちです。
しかし、頑張り方を変えないまま努力しても、消耗してしまうだけです。

短距離走をしても評価につながらないため、長距離走をしても不安が消えないため、どちらも中途半端になってしまう。
逆に言うと、自分の走り方を理解し、意図的にもう一方を補うことができれば、成果は安定しはじめます。

派手さはないものの、確実に前に進んでいる実感が生まれる。その積み重ねが、後から大きな差になります。
今すぐ結果が出なくても、続けていることがある人は、決して負けていません。

そして、目の前の一歩を軽視しない人も、着実に信頼を積み上げています。
短距離走だけでも、長距離走だけでも、仕事は成立しません。
しかし、自分の特性を知り、補い合う設計ができたとき、仕事は苦しいものから、前に進めるものへと変わっていきます。

焦っても成果が出ないため、立ち止まっても不安になるため。
だからこそ、今日の一歩と、未来への一歩、その両方を意識して走ってみてください。