
こんにちは。
毛利まさるです。
質問の意図を深く探る
会話や商談の場で、「これって便利なんですか?」「どうなんですか?」といった質問を受けた経験はありませんか?
一見、単純な質問のように見えても、実はその裏にある意図が曖昧なことが多いのです。
そのまま答えてしまうと、相手が本当に知りたかったことにズレた回答をしてしまうことがあります。
つまり、表面的な質問に対して即答するのではなく、質問の意図を深く探ることが大切なのです。
あいまいな質問の正体
「便利なんですか?」という質問を例にとってみましょう。
この質問の裏には、実はいくつかの可能性があります。
「他の製品と比べて便利なのか」「操作が簡単か」「コスト面で効率的なのか」など、どの観点から“便利”と捉えているかによって答えは全く異なります。
もしこのまま「はい、便利です」と答えてしまえば、相手の疑問は解消されません。
相手が求めているのは「自分の基準で便利かどうか」であり、あなたの基準での便利さではないのです。
まずは相手の立場に立つ
質問の意図を探る第一歩は、「相手の立場で考える」ことです。
つまり、「なぜこの質問をしたのか」を一度自分の中で整理してみるのです。
たとえば、相手が忙しそうなビジネスパーソンなら、時短の意味での便利さを求めている可能性があります。
逆に、慎重な性格の人なら、操作の簡単さや失敗の少なさを重視しているかもしれません。
そのように考えることで、答える方向性が自然と見えてきます。
たとえば、「そうですね、操作がシンプルな点ではとても便利です」といった具合に、前提を共有しながら答えることができます。
この一言を加えるだけで、相手との認識のズレを防げるのです。
質問を質問で返す勇気
もう一つ有効な方法は、「質問で質問を返す」ことです。
たとえば、「それは、他の商品と比較した上での便利さでしょうか?」や「操作性という意味での便利さでよろしいですか?」といった具合に、相手の意図を確認します。
こうすることで、相手も自分の質問の焦点を整理しやすくなり、より具体的な会話に進むことができます。
この手法は、単なるテクニックではありません。
本質は「相手を理解しようとする姿勢」にあります。
この姿勢があるかどうかで、信頼関係の深まり方は大きく変わります。
表面の言葉よりも、背景を読む
質問の意図を探るということは、言葉の奥にある背景を読み取る力を養うことでもあります。
たとえば、相手が「導入コストは高いんですか?」と聞いてきたとします。
単に価格を知りたいのではなく、「コストに見合う効果があるのか」を気にしている場合が多いのです。
こうした背景を理解できれば、「初期費用はかかるものの、〇〇による効率化で半年後には回収できる見込みです」といった、相手の不安を先回りする答えができます。
つまり、質問の意図を深く探るとは、「相手が言葉にできていない本音」を察知することでもあるのです。
会話を設計する意識を持つ
質問を正しく理解するためには、会話を「即興」ではなく「設計」として捉えることも大切です。
相手の発言の背景、感情、立場を想像しながら、自分の答えをどう導くかを考える。
これは一種のコミュニケーションデザインです。
質問の意図を探る力は、営業トークだけでなく、プレゼンや会議、日常の対話にも応用できます。
どんなに論理的な説明が上手でも、相手が求めているポイントを外してしまえば、それは“的外れな正論”になってしまいます。
的を射た会話をするためには、まず相手の狙いを理解する。
それが対話の第一歩なのです。
小さな一言が信頼を生む
「それは〇〇という意味でおっしゃっていますか?」というたった一言で、相手との信頼関係が深まることがあります。
人は「自分の意図を理解しようとしてくれる人」に安心感を覚えるからです。
その安心感が生まれた瞬間、相手はあなたの話を真剣に聞いてくれるようになります。
質問の意図を深く探ることは、言葉のキャッチボールをより豊かにする行為なのです。
それは「答える技術」ではなく、「理解する姿勢」と言い換えられるかもしれません。
答えを急ぐのではなく、まず相手の意図を掘り下げる。
それこそが本当の意味での「会話力」であり、信頼を築く鍵なのです。





