現実を解く者だけが未来を創る

こんにちは。
毛利まさるです。

理想論と現実論

理想論は素晴らしいものです。

人を動かす力があり、未来を描く原動力にもなります。
しかし、理想を語れるのは「今すぐの困りごとが解決している人」だけです。

もし、目の前で水がなく喉がカラカラな人に「AIが進化して生産性が上がる時代が来ていますよ」と話しても、その人にとっては全く響かないでしょう。

いま必要なのは、AIの未来ではなく、コップ一杯の水なのです。

理想論が届かない瞬間

私たちは、つい「正しいこと」や「高い理想」を語りたくなります。
特にビジネスの場では、未来志向の言葉や新しい仕組みが重視されがちです。

しかし、現実的に困っている人にとっては、その理想はただの遠い話にしか聞こえません。

上司が「デジタル化で効率を上げよう」と語っても、現場では「そもそもプリンターが壊れている」なんてこともあるのです。
そうしたギャップこそが、理想論が響かない原因です。

理想論を語ることが悪いわけではありません。

ただ、順序を間違えてはいけないのです。

まずは現場の「今困っていること」を解決する。
そのうえで、未来への話をすれば初めて意味を持ちます。

現実論の中にこそ信頼が生まれる

本当に人を動かしたいなら、まずは現実論から入るべきです。
たとえば、営業の現場では顧客が抱えている「目下の問題」を丁寧に聞き出し、それをどう解決できるかを提案することが第一歩です。

「こうなったらいいですね」と語るよりも、「今日この課題を一緒にどう乗り越えましょうか?」と話すほうが、確実に相手の心を動かします。

理想論は信頼の上にしか立たないのです。
現実を理解しようとする姿勢こそ、相手に「この人はわかってくれている」と思ってもらうための第一歩です。

現実論が理想論を育てる

皮肉に聞こえるかもしれませんけど、理想を実現するためには現実を直視するしかありません。

現場で苦労している人たちの課題に耳を傾け、具体的な改善策を積み重ねる。すると、少しずつ未来へのビジョンが形になります。

つまり、理想論は現実論の積み重ねからしか生まれないのです。
砂漠にいる人に水を渡すことができて初めて、その人と「この砂漠に緑を増やそう」という理想を語れるようになります。

バランスの取り方

理想論だけでは机上の空論になり、現実論だけでは夢を失います。
だからこそ、この二つのバランスが大切です。

会社でも、家庭でも、どちらか一方に偏るとうまくいきません。
上司が理想を語るなら、部下は現実を支え、部下が疲れているなら、上司は未来を見せる。
このように支え合うことで、理想と現実は初めて交わるのです。