古いスタイルの会社の根幹にあるものと社内営業

こんにちは。
毛利まさるです。

あなたは「怒られないため」に動いてしまった経験はありませんか?

会議や上司への報告の際、「正しい答えを出す」よりも「怒られないように無難に答える」ことを優先したことはないでしょうか。

特に古いスタイルの会社では、この「怒られ回避」が無意識に文化として根付いてしまい、
働く人たちの行動原理の根幹にすらなっていることがあります。

この構造は、成果主義や挑戦といった現代的な評価軸よりも強力であり、社内営業のあり方に大きく影響します。

ではなぜ、怒られたくないという感情がここまで強力に作用するのでしょうか。

なぜ「怒られ回避」が根幹化するのか

背景にはいくつかの要素があります。

まず第一に「損失回避の心理」です。
人は得をするより損をしないことを強く優先する傾向があります。
古いスタイルの会社では「成果を上げるよりミスをしないこと」のほうが評価につながりやすく、この構造が社員をリスクから遠ざけます。

第二に「面子の文化」です。
異論や撤回が「顔を潰す行為」と解釈されやすい組織では、玉虫色の表現や「可能性は残しておくが決めない」態度が蔓延します。

第三に「評価の非対称性」です。挑戦して成功したとしても一過性であるのに対し、失敗は長く記憶に残り続けます。
そのため社員は先送りや曖昧な表現を選ぶほうが合理的だと感じてしまうのです。

最後に「他社経験の乏しさ」も影響しています。
外の常識を知らないまま社内文化に染まってしまうと、「波風を立てないことが安全」というローカルルールが強固に固定化されます。

決め方を先に決めるという発想

このような環境では、議論が進むたびに「誰も責任を取りたくない」という空気が強くなります。
その結果「最後まで希望を残し、土壇場でスパッと切る」「決めないことが安全」といった現象が頻繁に起こります。

これを避けるためには「Decision Protocol 先置き」、つまり決め方を先に決めるという手法が有効です。
最初に「この件は○月○日に、A案とB案のどちらかを選ぶ形で決定します」と枠組みを置いておくことで、
後になって曖昧にする余地を減らせます。

ルールを先に明示しておくことは、怒られ回避の文化を中和し、組織を健全な意思決定に導く小さな一歩となるのです。

社内営業に求められるスタンス

このような環境で成果を出すには、単なる情報伝達ではなく、社内営業としての立ち回りが必要になります。

社内営業とは、単に上司や幹部に従うことではなく、組織の意思決定プロセスを円滑に進めるための「橋渡し役」を担うことです。
たとえば、根回しの段階で「怒られない形」を模索するのではなく、「決め方のルール」を共有していく。

あるいは、議論の中で異論が出た際には「これは恥をかかせるものではなく、建設的な指摘だ」と伝える役割を担う。
社内営業の巧拙は、怒られ回避文化に巻き込まれずに成果を形にできるかどうかに直結します。