
こんにちは。
毛利まさるです。
情報が氾濫する現代において、
瞬間的なデータや断片的な事実だけで
判断を下すことは多いでしょう。
特にセールスの場面では、
顧客の一言や表情だけを見て
「この人は買う気がない」
「この商談は失敗だ」
と決めつけてしまうことがよくあります。
しかし、それは本当に正しい判断なのでしょうか?
この問題を考える際に、
「群盲象を評す」という寓話が参考になります。
これは、目の見えない人たちが象に触れ、
それぞれが触れた部分だけで象を評価するという話です。
足に触れた人は「象は太い柱のようだ」と言い、
鼻に触れた人は「象は蛇のようだ」と言います。
誰もが自分の経験から正しいと思う判断を下します。
しかし、それは象全体の姿を捉えていないため、
どれも不完全な理解なのです。
セールスの現場でも同じことが言えます。
顧客の反応が冷たかったとしても、
それは必ずしも「興味がない」という意味ではありません。
単に考え込んでいるだけかもしれませんし、
別の懸念を抱えている可能性もあります。
あるいは、以前似たような商品で失敗した経験があり、
慎重になっているのかもしれません。
しかし、セールス側がその背景を知らずに
「この人には売れない」と早々に諦めてしまったら、
チャンスを逃してしまうでしょう。
情報とは、脈絡と背景を理解してこそ本当の価値を持ちます。
例えば、あるデータが
「この商品の売上は前年比50%減少した」
と示していたとします。
この数字だけを見ると
「売れていない」と判断しがちです。
しかし、実は前年が特需で
異常な売れ方をしていただけかもしれません。
または、今期は新たな市場開拓をしており、
一時的に既存市場の売上が落ちているだけかもしれません。
このように、単なる数値だけで判断するのではなく、
「なぜこの数字が出ているのか?」
という背景を考えることが重要なのです。
セールスのプロフェッショナルに求められるのは、
単なるデータや目の前の顧客の反応だけでなく、
その奥にある本質を見抜く力です。
「このお客様はなぜこの質問をしたのか?」
「なぜこのタイミングで興味を示したのか?」と考え、
背景を理解しようとする姿勢が必要です。
そうすることで、単なる「情報」を
「洞察」に変えることができ、
より適切な提案ができるようになります。
瞬間的な情報だけに頼ると、大きな誤解を招きます。
それを避けるためには、常に情報の背景を意識し、
広い視野で物事を捉えることが求められます。
群盲象を評すような判断ではなく、
本質を見抜く目を持つことが、
セールスの成功を左右するのです。