
こんにちは。
毛利まさるです。
1枚に込められたもの
あなたはイラストや絵本作家の展示館に行ったことがありますか?
もし行ったことがないなら、ぜひ一度足を運んでみてください。
そこには、一見するとシンプルに見える「たった1枚の作品」に、作家が何度も構成を練り直し、
色彩や構図、メッセージ性まで吟味し尽くした時間と情熱が込められています。
しかし、現実は時に残酷です。
来館者の多くはその1枚をじっくり眺めることなく、さらっと通り過ぎてしまいます。
作家の心血を注いだ時間や想いは、必ずしも全員に届くわけではないのです。
セールストークも同じ構造
実はこの現象、セールストークにもまったく同じことが言えます。
あなたが時間をかけて考え抜いたトークも、目の前のお客さんにとっては「響かない」ことがあります。
相手はあっさり聞き流し、特別な反応を見せないかもしれません。
それでも、別のお客さんにはそのトークが深く刺さり、契約や購入という結果につながることがあります。
つまり、同じ言葉でも、受け手によって反応はまったく異なるのです。
「刺さらない」のは失敗ではない
多くの営業マンは、自分のセールストークが反応を得られなかったとき、「ダメだった」と感じます。
しかし、それは必ずしも失敗ではありません。
絵本作家やイラストレーターも、すべての人に感動してもらうことを目的としているわけではありません。
自分の表現に共鳴してくれる人に届けば、それで価値があるのです。
セールストークも同じで、「誰にでも響く万能な言葉」を探すよりも、「この人にはこれが届く」という一点突破の意識が重要です。
裏側の姿勢を学ぶ
展示館で感じるべきは、完成した作品の表面だけではありません。
その裏側にある、「どうすればベストな表現ができるか」を追求する姿勢です。
ラフスケッチ、色の試し塗り、構図の変更…そうした裏方の努力を知ると、1枚の作品に込められた密度の高さがわかります。
セールストークも同じです。本番でお客さんの前に立つ前に、何度も話の構成を見直し、言葉の選び方や順番を微調整する。
この「裏側の準備」が、結果を左右します。
1枚に込められた「覚悟」と「選択」
作品もセールストークも、「限られた時間や枠の中で、何を入れて何を削るか」という選択が求められます。
伝えたいことは山ほどあっても、それを詰め込みすぎれば逆に伝わらない。
だからこそ、「何を捨てて、何を残すか」という覚悟が必要です。
セールストークの本質は、この取捨選択の中にあります。
展示館で見た1枚が感動的に感じられるのは、無駄が削ぎ落とされ、必要な要素だけが凝縮されているからです。
「刺さる瞬間」を信じる
ある作品を見て、何も感じない人もいれば、涙が出るほど感動する人もいます。
同じように、セールストークも全員に響く必要はありません。
大事なのは、誰か一人の心に深く刺さる瞬間を信じて準備を重ねることです。
もし展示館に行く機会があれば、ただ「作品を見る」のではなく、「作り手の裏側の姿勢」を観察してみてください。
構想の過程、失敗作、ボツ案——そういった背景から学べることは、セールストークの質を確実に高めます。
お客さんの前で披露する言葉は、表舞台の「1枚」に過ぎません。
その背後にある準備や覚悟こそが、あなたの営業力を支える土台になるのです。





