売れる営業は判断基準を提示する

こんにちは。
毛利まさるです

お客さんに判断基準を紹介するという視点

営業の現場では、「お客さんの判断が絶対だ」と思い込みがちです。
確かに購入するかどうかを決めるのはお客さんですし、その意思を尊重するのは当然です。
であるものの、だからといって常にお客さんの判断が「最適」だとは限りません。

あなたが扱う商品やサービスについては、あなた自身が誰よりも詳しいプロフェッショナルであり、知識や経験の量においてはお客さんを大きく上回っています。
だからこそ、あなたの役割は単に情報を伝えるだけではなく、お客さんに新しい判断基準を紹介することにあるのです。

判断基準は人によって違う

たとえば「ラーメンがおいしいかどうか」という話を考えてみましょう。
一般のお客さんは単純に「おいしい」「おいしくない」という2つの基準でしか判断しないかもしれません。

しかし、ラーメン職人や評論家であれば、麺が細麺か太麺か、多加水か低加水か、
スープは鶏ベースか豚骨ベースか、カエシは醤油なのか味噌なのか、さらには香味油の種類まで細かく見ています。
つまり、プロは判断基準を数多く持っており、それを組み合わせて「総合的に」評価をしているのです。

この違いこそが営業現場にも当てはまります。
お客さんが持っている判断基準は、現時点での知識や経験に制限されています。
その状態で出した判断が、その人にとって必ずしも最適とは限らないのです。

判断基準を増やすことの価値

ここで大事なのは、お客さんに「正しい判断をしろ」と迫ることではありません。
そうではなく、あなたが持つ豊富な判断基準を紹介することで、お客さんの選択肢を広げてあげることです。

たとえばパソコンを販売している場面を想像してみてください。
お客さんは「値段が安いか高いか」だけで選ぼうとするかもしれません。
しかし、あなたが「バッテリー持続時間」「処理速度」「サポート体制」「セキュリティ機能」といった別の基準を提示すれば、お客さんはより多角的に比較できるようになります。

結果的に、「値段が安い」という一点だけでなく、長期的に見たコストパフォーマンスや安心感といった価値に気づき、最適な判断を下せるようになるのです。

セールスメンタルに必要なスタンス

この時に重要になるのが「お客さんは必ずしも完璧な判断をしているわけではない」
「だからこそ自分の持つ判断基準をシェアすることが役割だ」という心構えです。

多くの営業は「押し売りになるのでは」と不安に感じます。
しかし、判断基準を紹介することは押しつけではありません。
むしろ「知らなかった基準を知れた」とお客さんにとって感謝されることすらあります。

重要なのは、自分の知識を誇示するのではなく、「お客さんの判断をより良いものにするサポート」という姿勢を持つことです。

判断基準は「気づき」を生む

興味深いのは、判断基準を紹介することで、お客さん自身が新しい気づきを得る点です。

「値段だけで決めようと思っていたけど、確かにサポート体制は重要だな」とか、
「今まで意識してなかったけど、ランニングコストまで考えるとこっちの方が得だな」といった気づきは、すべてあなたが与えた判断基準から生まれるのです。

「値段だけで決めようと思っていたけど、確かにサポート体制は重要だな」とか、
「今まで意識してなかったけど、ランニングコストまで考えるとこっちの方得だな」といった気づきは、すべてあなたが与えた判断基準から生まれるのです。

お客さんの「気づき」をサポートすることこそ、営業における本当の価値提供だといえるでしょう。