
こんにちは。
毛利まさるです。
あなたは「平均値」という言葉に惑わされた経験はありませんか?
たとえばニュースや記事で「この業界の平均年収は〇〇円」などと紹介されると、
「へえ、そんなに稼げるんだ」と思ったことがあるかもしれません。
しかし、その数字を鵜呑みにするのはとても危険です。
なぜなら平均値は一見わかりやすく便利な指標であるものの、実態を正しく表していないことが多いからです。
今回は仕事術の観点から、平均値の罠に惑わされずに正しい判断をするための思考法について考えてみましょう。
平均値の持つ「錯覚」
大谷翔平選手の高校、花巻東高校を例に考えてみましょう。
仮に1学年240人の卒業生がいたとして、大谷選手の年収を100億円とすると、その学年全体の平均年収はおよそ4,000万円になります。
数字だけを見れば「花巻東に入学したら平均年収4,000万円の人生が待っているのか!」と思ってしまいそうです。
しかし、実際にそうなるはずがありません。
なぜなら、この平均値は大谷選手という突出した存在が全体の数字を大きく引き上げているからです。
この構造を理解せずに平均値を見てしまうと、現実からかけ離れた錯覚に陥ってしまいます。
「中央値」で考える発想
平均値は極端なデータに大きく左右されます。
そのため「普通の人」がどのくらいの立ち位置にあるかを把握するには「中央値」の方が有効なことが多いのです。
たとえば年収の分布を考えると、一部の高所得者が数字を押し上げてしまうため、平均年収は実際の大多数より高く見えます。
中央値を見れば、多くの人がどのあたりに位置しているかを知ることができます。
仕事術においても「平均的な数字だから安心」と思うのではなく、その数字の背後にある分布や背景を見抜くことが重要です。
仕事の現場に潜む「平均値の罠」
平均値に惑わされる危険性は年収だけではありません。
営業活動で「1件あたりの平均受注額」が提示されることがあります。
しかし、その中に一部の超大型案件が含まれていると、平均値は大きく膨らみます。
その数字を基準に目標を立ててしまうと、多くのメンバーが現実的ではない数字に苦しむことになってしまいます。
同様に「平均残業時間」も一見すると参考になるようで実際は危険です。
ある人が月に100時間残業し、他の人がほとんど残業していなければ「平均残業時間は50時間」と表示されます。
しかし、実際の働き方の実態とは大きくかけ離れているのです。
平均値ではなく「具体」を見る
大切なのは、数字を一段掘り下げて「誰がその数字を作っているのか」「どの範囲が現実的なのか」を見ることです。
極端な数字に引っ張られず、自分にとっての実態を理解することが、的確な仕事術につながります。
特に組織の中で評価基準や目標設定を考えるとき、平均値という言葉をそのまま使ってはいけません。
むしろ「上位20%はこう」「下位20%はこう」といった層別に理解する方が現実に即しているのです。
数字の奥行きを意識することが、正しい意思決定の第一歩になります。
平均値に惑わされない「思考の習慣」
ではどうすれば平均値に惑わされずに済むのでしょうか。
答えは「問いを持つ」ことです。「なぜその平均値がそうなっているのか」
「極端な数値を出している要素は何か」「自分の立ち位置はその中でどこなのか」と問いかける習慣を持つことです。
大切なのは、数字を「受け取る」だけでなく「解釈する」姿勢です。
この解釈力こそが、数字に強いビジネスパーソンとそうでない人を分ける分岐点になります。





