機械でやればいいじゃん

こんにちは。
毛利まさるです。

先日、とある工場を見学する機会がありました。

今の時代、多くの工程は自動化されていると思うかもしれません。
しかし実際には、手作業で行われている工程が驚くほど多く存在していました。

正直に言えば、最初はこう思いました。
「こんなの、さっさと機械でやればいいじゃん」と。
あなたも、似た感覚を持ったことはなかったでしょうか?

「もっと効率化できるはずだ」「非効率なやり方だ」と。
あなたは、現場を深く知らないまま、頭の中の理想だけで物事を判断していたのではないでしょうか?

想像と現実のあいだにある、見えないコスト

しかし、実際に話を聞いてみると状況は一変します。
機械を導入するには、当然ながら初期投資が必要です。
さらに、導入後のメンテナンス、調整、トラブル対応といった“見えない手間”が発生します。

なにより重要なのは、生産量です。
もし生産量が少なければ、機械を動かすより、人の手でやった方が圧倒的に楽なのです。

たとえば、営業所で、40通の案内を封筒で送るケースを想像してください。
印刷、封入、封かん、切手貼り。確かに手間はかかります。
しかし、これを機械化しようとすると、精度の高い設備が必要になり、準備と調整の負荷は一気に跳ね上がります。

その結果、機械化したほうがかえって非効率だったと思います。
それは、現実の解像度を知らずに判断してしまったからです。

解像度が低いままでは、正しい提案はできない

ここで大切なのは、「考え方が間違っている」という話ではありません。
問題は、情報量が圧倒的に不足していることです。

それは情報が少ないからです。
情報が少なければ、想像の解像度が低くなるのは当然です。

ですので、相手の状況を徹底的にヒアリングする必要があるのです。
そして、営業の現場でもまったく同じことが起きています。

成績が伸びない営業に共通する「善意のズレ」

成果が出ないとき、人は「もっといい提案をしよう」とします。
しかし、その提案が“自分の正解”になってしまうと、一気にズレが生じます。

「それ、やらなくてもいいですよ」
「こうした方が効率的です」

一見すると親切で、論理的です。
しかし、相手の現場を知らずに言えば、それは単なる机上の空論になります。

どれだけ正しいことを言っても、相手の前提条件を無視しても、信頼は積み上がらないのです。
逆に言うと、相手の現実を理解しない限り、成果を出す営業にはなりえないのです。

ヒアリングとは、質問力ではなく想像力

多くの人は、ヒアリングを「質問の数」だと勘違いしています。
しかし本質はそこではありません。

「なぜそれをやっているのか」
「なぜ変えていないのか」
「変えないことで、何を守っているのか」

ここまで想像しながら聞けているかどうかです。
どれだけ提案資料を磨いても、相手の前提を外しても売れるため、にはなりません。

相手の世界に入り込めて初めて、言葉は意味を持ちます。

機械でやればいいじゃん、の正体

「機械でやればいいじゃん」という言葉は、効率化の象徴のように見えます。
しかしその裏側には、「相手の事情を知らない」というサインが隠れています。
それに気づけたとき、あなたの営業は一段階、深くなります。

そのためにはヒアリングにより相手の解像度を上げること。
それが、成果と自信を同時に取り戻す、いちばん確実な近道なのです。

今、結果が出ていないとしても、それは能力不足ではありません。
視点の解像度が、少しだけ合っていないだけなのです。

そのズレに気づけたあなたは、もう次のステージに立っています。

あとは、一歩ずつ現実を見に行くだけです。