
こんにちは。
毛利まさるです。
ダニング=クルーガー効果「自分はまだまだだ」と思えた瞬間こそ成長の証
仕事をしていて、「先輩や上司の考え方が深すぎて、自分はまったく敵わない」と落ち込む瞬間はありませんか?
あるいは、会議中に周囲の発言を聞いて「自分の理解はまだ表面的だった」と感じたことはないでしょうか。
その気づき、実はネガティブではありません。むしろあなたが成長した証拠なのです。
心理学には「ダニング=クルーガー効果」という有名な現象があります。
これは「知識やスキルが未熟な人ほど、自分の能力を過大評価しやすい」というものです。
逆に、一定の知識を身につけた人は、自分の未熟さを自覚し、過小評価する傾向があります。
つまり、「自分はまだまだだ」と思えるのは、学びが進み、ようやくその分野の深さに気づけた証でもあるのです。
深さを知ることは、落ち込むことではない
何も知らないうちは、世界がシンプルに見えます。
たとえば、社会人になりたての頃は「営業は話がうまければ結果が出る」と信じていたのに、経験を積むにつれて「話術よりも顧客理解」「顧客理解よりも信頼関係」と次々に奥行きを知るようになります。
このとき感じる「自分はまだ足りない」という感情は、まさにダニング=クルーガー効果の転換点です。
何も知らなかった頃には見えなかった世界の深さを、ようやく理解できるようになったということ。
だからこそ、自分を責める必要はありません。それは“視野が広がった証拠”なのです。
成長の第一歩は「わからない」と認める勇気
心理学者チャールズ・ダニングとジャスティン・クルーガーは、1999年に次のように提唱しました。
「能力の低い人は、自分の能力を正しく評価するために必要なスキルそのものを欠いている。」
https://en.wikipedia.org/wiki/Dunning%E2%80%93Kruger_effect
これは皮肉に聞こえるかもしれませんが、実はとても人間的な話です。
人は自分の知らないことに気づくには、ある程度の知識や経験が必要なのです。
だから、「あの人はすごい」「自分はまだまだだ」と感じる瞬間こそ、まさに未知を自覚できるようになった瞬間。
その自覚が、あなたを次の成長段階へと押し上げてくれるのです。
「知ること」は、謙虚さと自信を両立させる
本当に成長する人ほど、自分の限界を知っています。
それは自己否定ではなく、現状を正確に理解しているという意味です。
逆に、何も知らないうちは「自分はできる」と錯覚しがちですが、学びが進むほど「まだ知らないことがある」と気づく。
このプロセスを繰り返すことで、謙虚さと自信のバランスが整っていきます。
「まだ足りない」と思うからこそ努力を続けられ、「前よりできるようになった」と感じるからこそ前に進める。
この循環が、あなたの成長を支えるのです。
「落ち込み」ではなく「視野が広がった証拠」
落ち込むことは、実は悪いことではありません。
なぜなら、落ち込むということは、「今まで見えなかった自分の未熟さ」を見つけたということだからです。
大切なのは、そこで立ち止まらず、どう向き合うかです。
たとえば、仕事で上司の発想に驚いたら、「自分にはまだその視点がない」という気づきを喜びましょう。
その瞬間、あなたの視野は確実に広がっています。昨日までの自分では見えなかった世界に、一歩踏み込んだのです。
「知らない世界」を知ったという成長の証
ダニング=クルーガー効果の面白いところは、学びが進むほどに「自分は知らないことが多い」と感じるようになる点です。
これは決して後退ではなく、むしろ知のステージが上がった証拠です。
一流の研究者が「自分の分野でも知らないことが多い」と語るのも、まさにその深さを理解しているからこそです。





