セールストークが伝わらない理由は“アレクサンドラ構文”にある

こんにちは。
毛利まさるです。

「ちゃんと説明したはずなのに、伝わってなかった経験はありませんか?」

「いや、ちゃんと説明したよね?」
「いやいや、言ったよ?……たしかに……言ったよね?」

そんなふうに、伝えた“つもり”なのに、相手が全然理解していなかった……
そんな経験は誰しもあるはずです。

とくにセールストークでは、この「伝わってない地獄」が頻発します。

こちらは熱量たっぷりで話しているのに、相手はポカン。

こちらは「なるほど」と納得してくれると期待していたのに、「で、結局どういうこと?」と返される。

そのズレの原因の一つが、“伝え方の構造”にあるのです。

アレクサンドラ構文をご存じでしょうか?

いきなりですが、次の問題にチャレンジしてみてください。

「Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。」

問:この文脈において、「Alexandraの愛称は( )である」の空欄に当てはまる最も適当なものを、

(1)Alex

(2)Alexander

(3)男性

(4)女性

の中から選べ。

どうでしょう?ちょっと考えてみてください。

答えは(1)のAlexです。

……なのに、間違える人が多いのです。

なぜでしょうか?

それは、情報が“構文”として複雑になっているからです。

このような文章をアレクサンドラ構文と呼びます。
見た目は一見クリアに書かれているようで、読み手には伝わらない。
伝える側は「ちゃんと書いたつもり」なのに、受け手には正しく伝わっていない。
つまり、“つもり地獄”です。

セールストークにも潜む「アレクサンドラ構文」

さて、これは国語や言語処理の話ではなく、セールストークにも直結する話です。

たとえば、商品説明の中でこんな伝え方をしていませんか?

「この製品は既存のAにも対応しており、新たに開発されたBとも連携が可能であり、
 Cに関しては現段階では非対応であるものの、今後対応予定です」

……はい、相手は途中で聞くのをやめています。

そして最後に、「で、結局なにができるの?」と聞いてきます。

これはまさに、ビジネス版アレクサンドラ構文。

伝える側は「情報はちゃんと全部盛り込んだ!」と思っている。

しかし、聞く側には肝心なことが伝わっていない。

このズレを放置すると、「提案は悪くなかったのに、なんとなく選ばれなかった」みたいな、
最も悔しい結末になります。

わかりやすさが大切です。

あなたの話を、相手がスムーズに理解できるようにする。

そのためには、相手が迷わないように話す順番を工夫したり、
余計な枝葉をそぎ落としたり、要点を最初に伝えたりする必要があるのです。

ちなみに、これはある意味、セールスの本質でもあります。

相手の気持ちを想像して、相手が理解しやすいように“届ける技術”。

それがセールストークの本質であり、商談の勝敗を分けるポイントです。