相手は“論理”ではなく“感情と簡潔さ”で判断する

こんにちは。
毛利まさるです。

営業で成果が出ず、焦りや不安が募っている時、あなたは相手の反応一つひとつに敏感になっていないでしょうか?

「なぜ伝わらないのか」「なぜ誤解が生まれるのか」と悩んだ経験は誰しもあると思います。
実はこの根本には、人は論理ではなく“感情と簡潔さ”で物事を判断するという厳然たる事実が存在します。
あなたはこれまで誠実に丁寧に対応してきたであるものの、相手がその意図を100%理解してくれるとは限りません。
むしろ、誤解されることの方が多いのです。

この構造を理解するだけで、営業でのコミュニケーションの質は劇的に変わります。

本稿では、素案の内容をベースにしながら、なぜ人は感情で判断するのか、
そしてあなたがどう振る舞えば誤解なく伝わるのかを深く掘り下げます。

相手はあなたほど“意図”を深読みしない

あなたにも似たような経験があるのではないでしょうか?

職場で同僚がおろしたてのスーツを着ているのに、背中の糸がついたままになっていることに気づいた場面を想像してみてください。
みんなの前で恥をかかせたくないという配慮から、あとで二人きりになった時にそっと伝えようと考えたとします。
しかし急な仕事が入り、伝えるタイミングが消えてしまい、その同僚は外出していきました。

その後、「気づいていたなら言ってほしかった」と言われてしまう。

あなたとしては相手の気持ちを思いやった行動であったものの、同僚はそう解釈してくれなかった。
そんなすれ違いが生まれるのです。
今回の内容は、メールでこっそりお伝えすれば良かったといった表面的な話ではありません。

ここで重要なのは、人はあなたの意図を100%理解してくれる存在ではないという厳しい現実です。

あなたが配慮して沈黙した理由など、相手にはわからないのです。
むしろ「なぜ言ってくれなかったのか」と短絡的に判断されがちです。おわかりでしょうか?

しかしこれは、誰が悪いという問題ではありません。
人はそもそも複雑な背景を推測するより「自分がどう感じたか」を優先しがちだからです。

人は“感情”と“簡潔さ”で判断する仕組みを理解する

なぜ人は相手の意図を深読みしないのでしょうか。
それは、多くの人が瞬間的な感情と一行で説明できるような結論で物事を判断するからです。

「言ってくれなかった=配慮がなかった」
という、簡潔で直線的な思考が最優先されるのです。

それはあなたの行動が間違っていたからではありません。

それは人間の脳がそう機能しているからです。

脳は複雑な推測を嫌い、感情に基づいた単純化された判断を選びます。
ですので、あなたがどれほど丁寧に配慮した行動をとっても、相手はその細部を理解しないのです。
逆に言うと、相手に任せていては永遠に誤解され続けることになりえないのです。

あなたが主体的に「どう伝えるか」を選ばない限り、状況は改善しません。

“読めばわかる”では伝わらない理由

この話は営業の商談でもまったく同じ構造を持ちます。
資料を渡した時、あなたは「読めばわかる」と思っていなかったでしょうか?

しかし、相手はあなたと同じように資料を精読するとは限りません。
むしろ、その可能性は低いのです。
その結果、あなたの意図とはまったく違うポイントで判断されてしまい、提案の価値が十分に伝わらなかったと思います。
それは、資料の質が悪いのではありません。

資料を“どう読み、どこを見ればよいか”を言語化していないからです。
映画をすすめる時、「見ればわかるよ」と言う人はいません。

「ここのシーンがすごく良かった」「この展開に心を打たれた」という“見どころ”を語るから、相手は観てみようと思うのです。

提案資料も同じです。

あなたが「どこを見てほしいのか」「なぜそこが重要なのか」を伝えてはじめて、相手は価値を理解します。
相手任せにしても伝わらないのため、あなたが先に道筋をつくる必要があります。

誤解を防ぐ営業の本質は“先回りの伝え方”にある

営業の成果は、伝わった情報量ではなく、相手がどう受け取ったかで決まります。
あなたがどれだけ正しく努力しても、相手が誤解すれば成果にはつながりません。

ですので、大事なのは次の二点です。
相手は意図を読み取らない
相手は感情と簡潔な結論で判断する

この前提を理解し、自分から“伝え方の主導権”を握ることが営業における本質なのです。

もう一度言います。

人はあなたの行動の背景を深読みしてはくれないのです。

だからこそ、あなたが丁寧に、先回りして、誤解を生まない説明をする必要があります。
それができるようになると、あなたの営業は一気に変わっていきます。

見られ方、伝わり方、信頼の積み上がり方が劇的に改善します。