“ルサンチマン”が生む攻撃の連鎖と現代社会の心理構造

こんにちは。
毛利まさるです。

芸能人や有名人の炎上が、毎日のようにニュースを賑わせています。

あなたも「なぜこんなにも攻撃が続くのだろう?」と疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。

一見、正義感による批判のように見えても、その根底にはもっと深い心理が隠れています。
その心理を理解するためのキーワードが「ルサンチマン」です。

これは哲学者ニーチェが用いた概念で、簡単にいえば“自分より上に見える存在への妬みや嫉みが、攻撃となって表れる状態”を指します。

現代の炎上文化は、このルサンチマンが非常にわかりやすい形で増幅されている結果なのです。

ルサンチマンが炎上を生む心理の正体

ルサンチマンとは、「自分より上の立場にいるように見える相手」に対して、無意識のうちに敵意が生まれ、攻撃衝動につながる心理です。
本来なら自分自身と向き合い、成長するために使われるはずのエネルギーが、他人へ向けて発散されてしまいます。

たとえば、成功している人に対して「気に入らない」と感じたり、極端に粗探しをしたくなったりするのはこの心理の典型です。
もちろん、明確な不正や暴力、ハラスメントなどは正されるべきであるものの、ネット上には「ただの憂さ晴らし」としか思えない攻撃も少なくありません。

この構造が積み重なることで、炎上は社会のどこにでも起きる“日常現象”となってしまったのです。

なぜ人は他者を攻撃することで満足しようとしてしまうのか?

ルサンチマンの厄介な点は、「攻撃するほど一瞬だけ自分が優位になれたように錯覚する」という性質です。
承認欲求がSNSによって可視化された現代では、この錯覚が非常に強力に働きます。

しかし、その満足感はすぐ消えます。
消えるとどうなるのでしょうか?

また新しいターゲットを探し、また攻撃する。
これが無限ループをつくり出し、炎上の連鎖が止まらなくなるのです。

物理には“作用反作用の法則”がありますが、人間関係や評価の世界でも非常によく似ています。
他人を強く攻撃した瞬間、あなた自身も反作用として強い攻撃を受ける可能性が生まれます。

つまり、「攻撃する」という行為そのものが、自分自身のリスクを増やしてしまうのです。

不必要な敵をつくらないことが、最強のリスク管理になる

炎上の仕組みを理解すると、ひとつの結論にたどり着きます。
それは、“必要以上に敵をつくらないほうが、人生も仕事も成功しやすい”ということです。

誰かを叩いても、あなたの人生が劇的に良くなるわけではありません。
むしろ、無意識の敵意がエネルギーを奪い、自分の幸福度や集中力をむしばみます。

逆に、他人を攻撃しない選択をすると、自分の心の余白が確実に増えます。
感情の無駄遣いが減り、仕事にも人間関係にも健全さが生まれます。

これはビジネスにおいても同じで、営業・管理職・経営者のいずれの立場でも「不必要な敵をつくらない」という姿勢は大きな武器になります。
ルサンチマンを理解することは、他人の行動を冷静に見るだけでなく、自分自身を守る最強のリスク管理にもなるのです。

前に進むために必要なのは“比較”ではなく“成長”の視点

ルサンチマンは“比較の感情”から生まれます。
しかし、比較だけに心が支配され続けると、行動はすべて他者軸になり、自分の成長を見失います。

だからこそ、現代に必要なのは「自分がどう進みたいか」という成長の視点です。
炎上の火に油を注ぐのではなく、その火を自分の成長のための熱に変えていく。

その姿勢を持っている人は、どんな時代でも強く生きられます。
他人を攻撃するより、自分の未来に投資するほうが、何倍も建設的です。

ルサンチマンを理解することは、その第一歩となるのです。