データは“見方”を伝えないと価値にならない

こんにちは。
毛利まさるです。

商談でデータを提示するとき、あなたはどこまで丁寧に説明していますか?

毎日のように資料に触れ、ロープレを重ね、説明も繰り返していると、データの見方や意味が自分の中で当たり前になっていきます。
これは営業として成長している証拠であるものの、同時に大きな落とし穴にもなりえます。

あなたの中で“当たり前”になった瞬間、相手にとっては“初めて触れる情報”であるという事実を忘れがちになるのです。
結果として、データの背景や意味を十分に伝えきれず、本来は強い説得力を持つはずの情報が、ただの数字の羅列として処理されてしまう危険性が生まれます。

このズレこそが、商談でデータが“刺さらない”最大の理由です。

データを説明する前に必要な視点とは何か?

見慣れた表やグラフを差し出し、「こちらをご覧ください」と説明を始める。

営業なら誰もが日常的に行うプロセスですけど、あなたにとっては馴染みのある数字でも、相手にとってはまったく文脈のない未知の情報かもしれません。

数字とは、それだけでは意味を持ちません。

どこを見てほしいのか、何を示しているのか、なぜこのデータが重要なのか
その“見方”が共有されて初めて、データは価値を持ち始めます。

相手はあなたの会社の資料を毎日見ているわけではありません。

そして医療現場でも、製造現場でも、店舗でも、データの活用に慣れているとは限らないのです。

だからこそ、あなたが見ている「焦点」を明確に伝えることが欠かせません。

“説明を省略するクセ”が成果を落とす理由

慣れてしまうと、人は説明を端折るようになります。

ロープレで何度も練習しているデータ。
会議で何度も触れた数字。
同僚と議論したポイント。

これらが積み重なると、自分の中でデータの意味が完全に固定され、単なる“常識”になります。

その結果、相手も同じ理解度で聞いてくれるだろうと無意識に思い込んでしまうのです。

しかし現場は常に初見です。

あなたの“慣れ”は、相手にとっての“未知”と衝突します。
このギャップが埋まらない限り、どれだけすばらしいデータを出しても、それは相手には正しく届きません。

むしろ「よくわからない」「結局何が言いたいの?」と感じさせてしまい、商談の説得力を落としてしまう可能性すらあります。

データが“伝わる営業”と“伝わらない営業”を分けるもの

データは正しいから刺さるのではありません。
理解されるから刺さるのです。

データの見方を伝える。
どのポイントが重要なのかを示す。
その数字が現場にどう関係するのかを語る。

こうしたプロセスを丁寧に行う営業は、数字の裏にある物語を届けることができます。

逆に、数字だけを提示して「見ればわかります」と言ってしまう営業は、データの価値を自ら手放していると言っても過言ではありません。

データとは、それ単体では価値にならず、“語られて初めて意味を持つ”ものなのです。

データを“意味に変える”ことが商談の本質

商談とは、ただの情報提供ではありません。

“理解と納得を生み出す場”です。

そのためには、相手が初めてそのデータを見る前提で、その見方・焦点・背景・理由を丁寧に語る必要があります。

あなたが当たり前と思っているデータほど、相手にとっては説明が必要です。
そしてその説明こそが、他の営業にはできない“あなたの価値”になるのです。

数字を数字のまま渡しても、相手の行動は変わりません。
数字を“意味”に翻訳して初めて、人は動きます。

商談におけるデータとは、その力をどう扱うかで成果が大きく分かれる“武器”なのです。